はっぴービっチは紅一点_2 (ページ14)

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渡辺「は？何それ。」

ぽつりと呟いたそれに対して、佐久間が更に口角を上げる

何それ知らない
ラウールの策略？って何、
不思議そうな俺に、佐久間は何かを思い出すようにして話し始めた

暗闇が蔓延る空は、雲で覆われていて

星一つ見えない

まるで、今の俺たちを示しているみたいに

佐久間「舘様から聞いたんだけどさ、あの日Aはラウールに『文春に追われてるからかくまって欲しい』って言って、Aの家に逃げ込んだらしいんだけど…… 」

その話は確かにAからも聞いた

自分からラウールを呼んだわけでもないし、ラウールも来たくて来たわけじゃない
不可抗力だったし、本当に偶然だったって、

一呼吸置いて、佐久間が重たそうに口を開いた

佐久間「ラウ、その直前まで舘様と一緒に居て『用事を思い出した』って言って帰ったみたいなんだよね。」

冷たい風が、俺と佐久間の間を通り抜ける

背筋が凍ったのは寒さのせいか、それともこの話によるものか

腕に鳥肌がたった

渡辺「 ……は？どういうこと、」

佐久間「未成年だから家まで送るって言ったのに、それも振り切って走って行ったらしい。
舘様も何か変だなって思って、こっそり後をつけたらしいんだけど、途中で見失ったみたいで。」

佐久間の話に対して、俺は目を見開くことしか出来ない

佐久間「 ………それがAの家の近くだったから、今回の件で色々辻褄があったんだって。」

佐久間は淡々と話すけれど、きっと話された当初は驚いたに違いない
俺だって今、整理がつかないもん

突然の真相暴露と、アルコールは相性が悪すぎる

事実、全く頭が働かない

渡辺「え、つまり、どういうこと？ラウールは全部嘘だったってこと、？」

ラウールは嘘をついてAの部屋に入ったってこと？

それでそのまま関係を持ったっていうこと？

佐久間「嘘、というか策略…の方が表現としては正しいのかも。」

策略……
その言葉を聞いて、ようやく理解した

あぁ全部

Aと関係を持つための作戦だったんだ

*