19話 ページ20
中原side
Aに体術を教え始めて2ヶ月が経過した。
飲み込みが早く、この短期間でみるみるAは力をつけて行った。
異能もまともに使えるようになったらAはポートマフィアのトップ戦力になるだろう。
大宰「やあ中也。Aちゃんとの訓練励んでるかい？」
中原「ああ。おかげさまで。Aは飲み込みが早いからな。戦力として使われるようになったらすぐにトップになっちまうだろうよ。」
Aの部屋へ向かう途中、いつの間にか隣に並んできた太宰。よくある事だが毎度気に入らねえ。
太宰「そうだ。私も今日からAちゃんの異能力の訓練を首領から仰せつかったんだ。中也も来るかい？」
中原「あ゛？？俺の方が先にAのところに行こうとしてたンだよ！今日もAは体術の訓練だ！」
太宰「首領は私に今日からでも訓練をと言ったんだ。それに、どうするかはAちゃんが決めることだからね。」
いつ会ってもいつ話してもいつ顔を見ても腹の立つ男だ。
目的地が同じじゃどうすることも出来ず、俺は太宰と並んでAの元へ向かった。
貴方「中也くん！と、治くん？珍しいですね！最近治くんの顔を見ていなかったので嬉しいです！」
太宰の野郎の顔を見て喜ぶA。少しムッとしちまった。
太宰「久しぶりだねAちゃん。早速で悪いんだけど首領からAちゃんに異能の訓練をして欲しいと頼まれてね。今からどうだい？」
貴方「異能の訓練、ですか？大丈夫でしょうか。」
太宰「私の異能力は異能力無効化だからね。万が一は絶対にないから大丈夫さ。｣
まだ自分の異能を使うことを躊躇してんだろうな。自分の扱えない異能を使うことが怖いのは当たり前だ。
貴方「あの、今日は中也くんとの約束があるのでまた明日からとかでもいいですか？わざわざ時間を作ってくださったのにすみません。」
一日だけ時間をください。
深く頭を下げるA。
太宰「頭を下げるまでのことでもないよ。大丈夫さ。ではまた明日同じ時間に迎えに来よう。」
太宰はそう言って部屋を出ていった。
貴方「治くんに悪いことをしてしまいました。」
中原「気にすんな。んじゃ、今日はいつも通り俺の訓練するか。」
いつも通り訓練をした。だが、Aはどこか上の空だった。
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