15話 ページ16
貴方side
ある日の昼下がり、いつも通り私は本を読んでいた。
コンコンとノックの音が部屋に響く。
貴方「どうぞ。」
ひとつ返事をすると、扉がゆっくりと開き首領が顔をのぞかせた。
森「やあAちゃん。元気そうだね。」
貴方「お久しぶりです首領。」
読んでいた本を閉じ、私はお茶を入れるため立ち上がった。
森「いつもすまないね。今日は君に提案があってきたのだけれど…いいかね?」
貴方「提案、ですか?」
お茶を入れながら私は首領の話に耳を傾けた。
森「君の異能は詠唱なしでもまだ操ることが難しい。そうだろう?」
貴方「はい。恥ずかしながら思った通りには動かせません。私の異能は中也くんや治くんとは違って独り歩きしているばかりです。」
ポコポコと音を立ててお湯が沸騰していく。
カップを持つ手に力が入った。自分の力なのに操れないというのはなかなかもどかしい。
森「異能の訓練をするというのは大前提の話なのだが、君には自分の事は自分で守るというすべを持っていて欲しい。だから提案だ。中原くんに体術の教えを乞いなさい。」
貴方「体術ですか?」
中也くんが体術にたけているという話は治くんがいつか話をしてくれたのを覚えている。
しかし私に出来るだろうか。いや、できるか出来ないかでは無いのだろう。この世界にいる限りやはり自分の身は自分で守らねばならない。
貴方「分かりました。自分の身は自分で守れるよう中也くんが良ければですが、精一杯やらせていただきます!」
森「決まりだね。この話は私からしておこう。提案はお終いだ。ちょうどお茶も出来たようだし雑談でもしよう。」
優しく微笑む首領。私はなんだか嬉しくて頬がゆるゆると...。ある日の昼下がり、私は首領と他愛もない話で盛り上がった。
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