10話 ページ11
中原side
貴方「汝、陰鬱なる鶯の許容よ 更めて我を目覚ますことなかれ___」
聞きなれた、俺自身も言い慣れた詠唱を聞いた直後__
三宅の姿はみるみると変わっていった。
一言でその姿を現すならば___白
三宅Aは白かった。抜けるような金色の長髪は、白くなり、エメラルドグリーンの瞳は瞳孔が酷く小さくなり
ほとんど色が分からない。
太宰「まるで汚濁を使った時の君のようだ。」
自分では分からないが太宰が言うならそうなのだろう。
太宰「さて、どうする中也。こうしているうちにも彼女は全てを壊してしまう。」
中原「俺が動きを止めたら間髪入れずに手前が異能を消す。それしかねえだろ。」
異能力___汚れつちまつた悲しみに
俺は地震の重力を操作し三宅に近づいた__はずだった。
地面を一蹴りした瞬間だろうか。
俺は気づいたら壁まで飛ばされていた。
中原「どうなってやがる!!」
太宰「ベクトルを操作している。これはなかなか近づけないね。」
中原「どうすンだよ!」
太宰「...2人で止めにかかろう。私が彼女に触れればそれでおしまい。君が彼女に触れたら絶対に何も出来ないように拘束。」
作戦を話している間にも三宅はずっと暴れ続けている。
ベクトルという目に見えないものを操り地下牢の地面をえぐり続けていた。
中原「行くぞ太宰。危険なことはもうこれでよくわかっただろ。」
太宰「嗚呼。足は引っ張らないでくれた前よ。」
中原「俺のセリフだっ!!」
俺と太宰は同時に地を蹴り三宅を止めにかかった。
___何度吹っ飛ばされたか分からない。
三宅の鼻から血が流れ始めた。
太宰「中也!今だ、挟み撃ちしろ!!!」
太宰の声を聞くと同時に三宅に飛びかかる。
俺はあと一歩、という所でまた見えない何かに飛ばされた___が。太宰は三宅の腕を掴んだ。
異能力___人間失格
何かがはじける音と同時に三宅の足から力が抜けた。
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