【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

臆病女 ページ35

「・・・・・・っ・・・はは・・・・」









それすら出来ぬわっちは弱い。
笑えるほどに臆病。









銃を置き
代わりに土方のスカーフを手に取る。









初めてのやさしさ。

初めてのときめき、



初めてのぬくもり。








・・・・それを苦しみが上回る。









握りしめた上から、涙がいくつも降って。









｢・・・・・っ・・・ひ・・・じ・・・か・・ッ」









道具として生まれた遊女。







叶わぬだけの恋ならば、
わっちはいくらでも涙にぬれよう。









所詮身の程知らずの恋。









だが、なぜ殺さねばならぬ？
この手を、思い人の血で染めねばならぬ？









｢・・・のう・・・ッ・・・・土方・・・・

わっちは・・・・・っ・・」









宮野が語った復讐の理由。









わっちは最後に、
妻になるはずじゃった女の名を聞いた。









「・・・・わっちは・・・・ぬしを・・・・・」









きっと、わっちのするべきことは一つなのじゃろう。



それがすべてを終わらせる唯一のすべ。









そう。すべてを。

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