大丈夫、キミが好きだよ。【orange】

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横「A、行きたいところある？」

カフェを出たら12時


早くに入ったはずなのに


私たちはそんなにゆっくりと話し合っていたのか



「どこもない」

横「…昔はようあそこ連れてけ〜言うてたのに大人になってもうたかぁ」



昔昔、かなり昔、

当時私はまだ小学生で

裕兄は免許取り立てで

お姉ちゃんはまだ生きていて

よく車でどこかに連れて行けとねだったものだ


病弱な姉に代わって
私と遊んでくれたのは当時姉の彼氏だった裕兄

裕兄の運転の練習にって隣に乗ってたのは私



私は何も理由がなく裕兄が大好きだった


面白くて

優しくて

少年っぽい裕兄が大好きだった



横「ほんまにええの？久々に会えたんに」

ちょっと不貞腐れたような横顔


「突然来たくせに」

横「たしかにそうやけどさぁ」

「学校休んだんだよ私」

横「…せやな」

「だから水族館連れてって」


項垂れていた裕兄がパッと顔を上げた

その目はキラキラと輝いていて

目がチカチカしてしまう


そのポケットにかけているサングラスを貸してください

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