大丈夫、キミが好きだよ。【orange】

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教室を出て少し歩いた頃


静まり返ったら廊下には
後ろからバタバタと走る音が聞こえてきた


ダメなんだ

廊下は走っちゃいけないんだよ


足音が近づいてきたと思ったら

すごい力で振り向かされる



丸「なぁ、A、どこいくん」


髪の毛がボサボサに乱れて

息を切らして

肩を大きく縦に上下して


丸「まだ1時限目も始まってへんよ、あの人誰なん」

「なにそれ、束縛？」

丸「束縛ちゃう、確認」



私の腕を掴んでいる隆平の手のひらからは

じんわり汗が伝わる


額と

ワイシャツから見える肌も

じんわり汗が光る



「んー、おにいちゃんなの」

丸「おにいちゃん？」

「正確には、姉の旦那。お姉ちゃんは数年前に亡くなったけどあーやってたまに会いに来るんだ」


私の腕を掴む隆平の手が少し緩んだ


丸「…今日、帰ってくる？」

「もちろんだよ」


少し寂しそうな隆平に笑ってみせた


すると隆平もちょっとだけ不自然に笑い返してくれた



隆平の笑顔は魔法


重かった足取りも軽くなる


絶対帰ってくるからね、だいじょうぶ

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