ともくんの

rd× 打ち上げ花火2 ページ46

「あっ…」

反対に向かう人と肩がぶつかった。
その表紙に腕が絡まって、よろけてしまった。
うまく体制を戻せずに、そのまま下駄から足が滑る。

「痛っ」

鼻緒で痛くならないように気をつけて歩いていたのに
今ので擦れてしまった。
無理して歩いていたからか、足首が痛い。

「すみません…」

小声で謝っても届かなかった。
それはぶつかった相手にも、シゲにも。

人混みに流されてシゲはもう見えなくなってしまった。
時折、揺れる髪が見えたけどそんなんも一瞬だけ。

…祭り、楽しんでなかったしな。

とにかく広いところまで歩こうと同じ方向へ進む。
いろんな店を横目に見ながら、歩く人を見た。
楽しそうにカップルは話しながら。
友達同士でじゃんけんして奢り合いしてる。

「もしもし」

『神ちゃーん？今日祭りおるんやんなー！』

「うん、おるよ！のんちゃんも？」

『流星もやで！ちゃーんと浴衣着てる！』

同じような音が向こうから聞こえて、隣の流星の声も聞こえる。

『合流しよや！今どの辺なん？』

「わ！ほんま？今はね…」

歩き進めていると携帯を見つめて俯いた姿のシゲがいた。
木にもたれて何やら携帯と睨めっこ。
すぐにのんちゃんに場所を伝えて、シゲと待つことにした。
シゲに手を振ってももちろん気付くはずがない。

「シゲ、ごめん」

「…ん、行こか」

「あ、待って、のんちゃんたちと合流しよ？」

「…あいつらおんの？」

「そうみたい。さっき電話きて、一緒にって」

「あー、そっか。うし、流星に奢ってもーらお！」

すぐにポケットに携帯を戻してキョロキョロと流星を探した。
なんか寂しくなって、ふと視線を落とすと、
さっきの足首が少し赤く腫れている。
痛みは平気やけど、このまま歩いてたら痛くなってしまいそう。
帰りは駅からタクシーかな？

「うはははは！！！じゃんけんしよやー！！！」

はしゃいだ声の方を見れば流星の腕を掴んで
店に向かって走るシゲの姿。
楽しそうに歯を見せて、お祭りを楽しんでる。
よかった、シゲも楽しんでるみたい。

「神ちゃん？」

「のんちゃん！来てくれてありがとう」

すらっと背の高い2人はほんまにキラキラしている。
俺なんか横に並びたくないんやけど…怒
そっと頬に手を当てられて
顔を上げるとキラキラしたのんちゃんが
いつもより眉毛を下げて俺をみている。






「なんかあったん？シゲあかんかった？

　告白、ダメやったん？」

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