ともくんの

rd× 1番に4 ページ30

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甘い。
シゲが俺に対して甘すぎる。
いやみんなに優しすぎるねんけどな？

旅行に来たのに俺の隣を歩いたかと思えば車道側を歩いたり、
遠くのおかずを取って俺の皿に置いたり、
寒いと肩を竦めれば薄手の羽織を持ってきて俺にかけてくれる。

「…なんか、シゲじゃないみたい。」

「そう？普段から一緒におるやん。」

「んー、…？」

多少の疑問が残りつつ荷物を広げた。
正直もう諦めたい。
だから泣きそうになる顔がバレないようにするために必死。
急に近くに来ないでよ。
優しくせんといてや。

…諦められへんくなる。

「流星、お膝貸して」

「ん。」

向かい合わせに座って流星の胸に顔を埋めた。
背中に回された腕が心地よくて更に擦り寄った。

「神ちゃん、」

声が聞こえて目を開けると長い間寝ていたのか
もう日は暮れて夕方になってしまった。

「あっ、ごめん！みんなは…っ、」

「風呂」

「…って、ぇ、シゲ、？」

俺が顔を埋めていたのは流星ではない。
あれ？俺、流星に…

「…ごめん。お風呂入ってきて。」

「一緒に行こ？」

「いい。俺、のんちゃん待っとく。」

「ほんなら向こうで」

「いいって…！！」

シゲの胸を押して離れると本当に
みんなは風呂に行ってしまったみたい。
恥ずかしい。諦めるって決めたのにまた引き摺ってるなんて。

「神ちゃん、」

「おもしろい？俺の気持ち弄んで、」

「違っ、」

「もう俺、諦めたから。そういうの辞めた。
　辛い思いするくらいなら、一人でおるって決めてん」

黙りこくって下を向いたシゲを置いて
風呂場に向かった。化粧品、全部置いてきちゃった。
でももういい。部屋の鍵だってないし、戻りたくもない。

「…なんで、あんなことすんの、」

カラカラと音を立てて開けると、
淳太おすすめの湯の匂いが広がる。
もちろん景色も最高や。
沢山の風呂もあるし、ゆっくり浸かろう。

「シゲとお風呂，入ったことないや」

一言一言漏れる言葉は俺がまだ諦められていない証拠。
泣いている顔が見られないように露天風呂に逃げた。
幸い誰も居てないし岩陰にもたれて景色を見ていると
ガヤガヤと声が聞こえてきた。
みんなまだおったんや、そう思って顔を出すと
大学生かな？若い子たちが３人露天風呂に来たみたい。
まだ泣いてたし、出ようとすると咄嗟に手を掴まれた。

「お兄さん、大丈夫？」

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