ともくんの

rd× 嫌われる勇気1 ページ11

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「なあ神ちゃん大丈夫？」

楽屋で自分の荷物をまとめている背中はいつもより寂しそう。
そっと背中に手をあてると目をキュッと細めて笑った。

「んー？大丈夫よ？」

俺の手を握ってキュッと握る。
相変わらず白くてすべすべや。

「…でも、好きなんやろ？」

「ふふ、うん。でも…正しくは好きやった。かな？」

「無理せんといてよ」

「…大丈夫よ？」

「そんな顔して？」

心なしか俺の声が甘くなるのは
泣きそうな顔をして、でもそれを耐えて奥歯を噛んでるから？
こんな顔されたら誰だって甘くなるよ。

「うん。もう俺やめたの。好きになるん。」

そう俺に微笑みかける顔は、きっと色々考えて、考えて、
出した答えなんやろう。
悔しい思いも、悲しい思いもしたはずやのに、
シゲから貰った自分にとっての幸せを、
大事に生きていくつもりやろ？

「…のんちゃんは幸せになってね」

「神ちゃん…」

「ふふ、もう甘えん坊なんやから」

重いはずやのにニコって笑って俺を抱きしめてくれた。
こんな小さい体で溜め込まんといてよ。
俺がおるやんか。
年下やから頼りにくい？





__________________ねぇ、聞いた？

__________________聞いた聞いた！まさかねぇ

__________________監督とかもたぶらかしてたらしいよ

__________________やっぱり？普段から女みたいやもんね

__________________可哀想よね、あんな子に言い寄られて

__________________本当に気持ち悪い、






「神ちゃん、聞かんでいいよ」

「んーん。そう思われてもしゃあないよ。大丈夫」

「あんな奴いわしとき？」

「元々俺が監督のこと断ったからあかんかったんよ。
　早めにシゲと別れてよかった。」

「神ちゃん！…そんなん神ちゃんばっかり…
　当たり前やけど俺、神ちゃんは悪くないと思ってる。」

ふふ、ありがとって、笑ってすぐに俺の頭から手を離した。
いつもは引っ付かせてくれるのに、最近構ってくれへん。
そりゃそうか。こんな噂流されてたら気も使うか。

神ちゃんとシゲはメンバー公認の恋人同士やった。
もちろん周りには秘密で。
でもここ最近、神ちゃんの嫌な噂が流れた。

あいつは男たらしやって

体で仕事取ったって

事の発端は最近映画がたまたまヒットした若手の監督。
神ちゃんにうまいこと言い寄ってホテル連れ込もうとした時に
AD達が見つけて声を掛けたらしい。

でも、それがあかんかったらしくて。
監督は噂を流した。

「こいつがどうしても抱いてくれって言うから。」

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