ともくんの3

rd× my b3 ページ3

「おはよ」

「ごめっ…！昨日、俺っ…」

「ええよええよ、寝れた？」

「…うん、ありがとう。抱っこ代わる」

「おん、でもこいつ俺の背中気に入ったみたい。
　ほらともくんの顔見ー、」

背中をずらして見せてやればご機嫌そうな顔をして
バタバタと手足を動かした。
まあちょいちょい蹴られてんねんけどな、

「ともくん、朝飯食おや」

「あっ、うん、あっためるわ、」

「それはやってん！やから、俺らの分のパン、焼いて？」

「しげ、ごめん、ありがとう」

すると神ちゃんは俺がしたいことわかるんか、
トースターにパン入れて、コップの中に粉末の粉入れた。
やっぱ、神ちゃん手際ええわあ…。
昨日あんな顔して寝てたのに、もうママの顔や。
可愛かったなあ…。寝顔かわいいって良くない？!
昨夜はお預け食らったど、可愛い顔見れたし、ノープログレム！

「神ちゃーん！！」

「はーい！あ、抱っこ代わるー！」

「ん、ありがとう！」

預けて俺はすぐにパンにバターを塗る。もちろん神ちゃんのも。
優しい顔で見つめて、美味しいねって食べさせてるのは
羨ましいやら、悔しいやら。
俺も隣に座って顔を覗き込むけど、
だいちゃーん、おいちいでしゅかあ、なんて赤ん坊から目を離さん。
大体、だいちゃんって名前もさあ！…俺かよ、

「神ちゃん、食いや。」

口元に持って行くと、首を振って、この子が先、なんて怒られた。
俺からしたら神ちゃんも大事やのに…。
まあ今はこの子優先したいんやろうなあ。
この先俺と付き合ってても子供に恵まれることはない。
だから子供好きな神ちゃんにとって今の時間は
何者にも変え難いんやろう。
せめて、少しでも味合わせてやりたい。

「ん、わかった。」

「はーい、おいちいでしゅねぇ、たくさんたべよねえ」

「…」










「神ちゃん、俺も抱っこし」

「いいって！俺するから！ともくんがいいやんなあ、
　ほーら、ねんねの時間ですよ〜」

そう言うと寝室に入ってすぐ後ろ手に扉を閉めた。
…俺、うるさかったかな。
せっかくの仕事休みやし、神ちゃんの負担減らしたくて
色々してみたけど、全部空回りやったなあ。

挙句の果てには

「シゲ！向こう行っててよ！」

ちょっと寂しいやんか。
あんまり俺役に立たへんかったみたい。あ、
あ、これか。一人よがりってやつ？
やってるつもり、か。

風呂も、夜泣きも、食事も、寝かしつけも
全部全部神ちゃん一人でしたかったんかも。
実の甥っ子やもんな。
こりゃ、あかんことした。

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