rd× 言ってよ、全部4 ページ12
痛いって？
待って、照史とすんの？
ってか望とやったん？
淳太から離したって意味なかったん…？
「痛いって？」
照史に包み込まれた神ちゃんは心地よさそうに微笑んでいる。
「神ちゃん、やる時うまく拡がらんくて痛いんやって。
ほんで俺らが手伝って、自分でやりって教えてん」
「そーなん？」
顔を覗き込んで照史が神ちゃんに尋ねれば、こくんと頷いた。
「んじゃ、今日はそれも見せて？
痛くならへんように俺がめーっちゃ解かしたるからな」
自分の足の間に入れたまま、腹に腕を回して
まるで付き合ってるかのように甘い雰囲気が漂う。
「えっ、でも俺、下手くそみたいで…、
なかなかうまくいけへんの、自分じゃなんの意味もなくて…」
「大丈夫やで？俺、ゆーっくりすんの好きやし」
…俺、そんなん知らんし。
痛いなんか、一言も言わへんかったやんか。
俺としてる時は匂いが嫌って離れたくせに。
淳太の話ばっかり。
目を追うのも、ひっつくのも全部淳太。
「痛い時は痛いって言うて？」
「うん、大丈夫」
そんなんばっかり言うて。朝も痛かったん？
「神ちゃん、俺ん時痛かったん？」
「えっ…と…」
「へぇ、ほんで裏で馬鹿にしてたん？」
望に言えて、淳太に言えて、俺には…っ、
「馬鹿になんてっ…」
「じゃあ、言えや！
痛いことも、誰でもよかったことも！」
「…っ、」
「シゲとの時間なくしたくなかってんて
言えば離れていくのがわかってたから」
間に入った流星の声で目が覚める。
照史に抱きしめられたまま神ちゃんはゆっくり涙をこぼした。
声を出さないために噛んだ唇は切れて赤い血が見えた。
神ちゃんはどんな我慢をしてたんやろう。
「言うたら、淳太の、とこ行っちゃうっ、からっ…、
あの時間失い、たくなくてっ…、」
「そんなんっ…神ちゃんがっ、」
「神ちゃん。必死やったで
シゲからの返事が来るたびに、まだ居てくれるんやって、」
「…やるだけの連絡やのに、嬉しそうにしてた」
照史に抱きしめられると、小さな体は見えなくなってしまう。
涙を拭ってもらってもどんどん流れてる。
「ごめん。シゲ。ほんまは痛くて堪らんかった。
でも淳太のとこ行かれるくらいなら、我慢したかって」
「…俺付き合ってるって思ってた
ごめん，不安にさせて。」
「んーん…って、え！？付き合って、えっ？！」
「淳太と仲良くしてたの神ちゃんやん！」
「でも、さっきも俺の関わらんといてって…」
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作者名：suta. | 作成日時：2022年9月18日 10時
