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深「…康二が夜中に酒飲むなんて、なんか悩みがあるんだろ？」
向「まさかあ、さすがに俺だって普通に酒飲みたい時くらいあるわ！」
深「じゃあその目、どう説明するわけ。」
向「…え、いや、これはな！」
深「お前なんかあると無意識に能力使うだろ。」
向「……はー、我が副長様の目は誤魔化せへんなあ！」
さすがふっかさんや、と手に持っていたグラスをカウンターに置くと同時にすっと彼の目から橙色が消えた。
向「なあ、ふっかさん」
深「ん？」
向「俺…、ここにいてええんかな」
深「…」
向「俺、なんもできひんかった。めめのこと、助けられんかった」
深「…うん」
向「目の前でめめが刺されたん、俺のせいや。…俺が、もっと、強かったらっ」
目に涙を溜めながら少しずつ言葉を溢す。
きっと向井が言っているのは今日の任務のことだろう。
普段は滅多に顔に傷をつけない目黒が満身創痍で戻ってきて能力で治癒したのは記憶に新しい。
そういえば、傷だらけの目黒を医務室までおぶってきたのも康二だったような。
向「……俺やっぱ、あの時みんなと死ぬべきだったんかなあ」
両手でグラスを包み込む。今にも消えそうな、耳を澄まさなければ聞こえないような声。
向井の言う『あの時』が何時を指すのか深澤は何となく解っていた。彼のことだ、何年も前に彼の故郷が焼き払われた時のことを思い出しているのだろう。
まあ、またその話は後にでも。
深「ばっかじゃねーの。って、言いたいとこだけど」
一口、自分も酒を飲む。
深「俺も同じこと、考えたことある」
呟けば、嫌でも脳内に広がるのは忘れもしない血の匂いと過去の記憶。
守れなかった記憶というものは、こうも鮮明に脳裏に焼き付いて離れないものなのか。
深「すぐそばにいたのに、俺がちゃんとしてたらって。今でも思う」
向「……今でも？」
今まで誰にも話したことのなかった、話そうともしなかった後悔の記憶。
今目の前で光を無くした辛気臭い目をしている向井が、深澤には過去の自分に重なって見えた。
深「阿部ちゃん、右眼が見えないだろ」
向「おん。え、あれ病気でなったって聞いたんやけど」
深「やっぱりみんなには言ってないか…」
俺のせいにしてないのもなんだかあいつらしいなと思いつつ、深澤はコトン、と酒のグラスを置く。
深「あれ、俺のせいなんだよな」
確かあれは、幾年も前。
俺たちが帝国軍として勤務していた、軍人学校を卒業してすぐのことだった。
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mu-pon(プロフ) - コメント失礼します。初めまして、mu-ponと言います。いろんな事情があったんですね。この小説がとても面白くいつ更新かなと街に待っていました！今からも大変だと思いますが頑張って下さい！応援してます！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: df04c4729a (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして！佐久間大好き！あべさくコンビも大好きです！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2020年5月29日 10時) (レス) id: 624e77d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんと(プロフ) - リクエストお願いします！ふっかさんが敵に誘拐されるお話が読みたいです。めちゃくちゃ好きなタイプのお話なので、今後も作品楽しみにしています！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: 9203f39f18 (このIDを非表示/違反報告)
てんぷら(プロフ) - ゆり組のお話が読みたいです。2人の秘密に迫るというか、2人ならではの絆のお話しをお願いします。アバウトな感じですみません。。これからも応援しています。更新待ってます。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: d802e6ae3c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 藜さん» すみません！間違えました (2020年5月23日 23時) (レス) id: c9acd22823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藜 | 作成日時：2020年5月16日 21時
