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状況を理解するのにそこまで時間はかからなかった。
佐「…あ、よかった。目ぇ覚めた？」
額に感じた冷たさに目を開ければ、心配そうに俺を見つめる佐久間。その手には先程まで額の上に乗っていたであろう濡れたタオルが握られている。結構な時間寝ていたのだろう、窓の外からは傾き始めた日の光が差し込んでくる。眩しい。
阿「あーやっぱり。俺、倒れた？」
佐「そうだよー、いきなり二階からすごい音がしたからびっくりしたんだよ？もーどうせ阿部ちゃんのことだから体調悪いのに無理して仕事してたんでしょ。」
阿「うっ…」
反論しようとした阿部だったが、なんせ図星である。
なにも言い返せない。
佐「ほかの皆も心配してるんだから。無理は駄目」
めっ！とデコピンをした佐久間は新しいタオルを阿部の額に乗っけた。
ひんやりと広がる冷気が気持ちいい。だが迷惑をかけたのであれば優しくされるのがなんだか今はむず痒い。そう感じた阿部は、黙って寝ていられずに半身を起こす。
佐「あーまだ起きちゃダメだって」
阿「いいよ佐久間、俺大丈夫だから」
大丈夫。
何度口にしてきたかわからない、阿部にとっての仮面。
もともと病弱体質でなおかつ雪花隊ができてからずっと末っ子だった。だがしかし彼にももう３人の弟たちがいる。この言葉は、もう、助けられているばかりでは駄目だと感じた阿部が作り出した仮面だった。
阿「俺なんかより、他のやつらに世話かけてやってよ」
そう発したはいいものの、耐え切れずにそそくさと顔を下に向ける。少しだけ握った手に力を込める。
本当は、どうしたらいいのかわからない。あー、さっき俺ちゃんと笑えてたかな。
握り占めた布団の裾に、皺が寄る。
佐「俺なんかって、なに」
いつもより冷たい声に顔を上げると、めったに泣かない佐久間の目にうっすらと少しずつ涙が浮かんでいた。
ガタン、と大きな音を立てて立った彼に阿部はびくりと肩を揺らす。
そんなのお構いなしに阿部の手を握った佐久間は、震える口を開いた。
佐「そんな悲しいこと言わないでよ……！！あべちゃんよく自分のこと欠陥品とか何とか言ってるけどそんなこと絶対ない！倒れたくせしていっちょ前に大丈夫とか言うな！！心配くらいさせてよ！迷惑もっとかけてよ！甘えていいんだよ！！」
佐久間の頬を伝う涙が、握られた阿部の手の甲に落ちる。
佐「……だって俺たち、シンメじゃん！！」
耳に伝わった響きは、酷く懐かしいものだった。
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mu-pon(プロフ) - コメント失礼します。初めまして、mu-ponと言います。いろんな事情があったんですね。この小説がとても面白くいつ更新かなと街に待っていました！今からも大変だと思いますが頑張って下さい！応援してます！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: df04c4729a (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして！佐久間大好き！あべさくコンビも大好きです！この小説とても面白いですね！頑張ってください！応援してます！ (2020年5月29日 10時) (レス) id: 624e77d1d4 (このIDを非表示/違反報告)
あんと(プロフ) - リクエストお願いします！ふっかさんが敵に誘拐されるお話が読みたいです。めちゃくちゃ好きなタイプのお話なので、今後も作品楽しみにしています！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: 9203f39f18 (このIDを非表示/違反報告)
てんぷら(プロフ) - ゆり組のお話が読みたいです。2人の秘密に迫るというか、2人ならではの絆のお話しをお願いします。アバウトな感じですみません。。これからも応援しています。更新待ってます。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: d802e6ae3c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 藜さん» すみません！間違えました (2020年5月23日 23時) (レス) id: c9acd22823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藜 | 作成日時：2020年5月16日 21時
