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「はる、はる、ひざ作れ!」

 海が陽の手を引き、テレビの近くに座らせる。そのままあぐらをかいた陽の膝の上に座る海にモヤっとする。

「海、お前もっとそっち行け」

 陽の歌ってるところなんか興味ないし、別の部屋に行ってゲームでもしようと思ってた。けど、まぁ、今日くらいは仕方ない。仕方ないから、一緒に観てやる。仕方ないからな。
 空いたスペースにドカッと座ると、陽がカエルみたいなうめき声を上げた。

「ふ、二人とも、もうお兄ちゃんなんだから、二人は重いよぉ……」

 情け無い声を出す陽なんか知ったことか。もたれかかると、頭を撫でられた。悪い気はしない。



 動画が始まる。司会の男が声高らかに進行していく。始めに出てきたのは知らないグループだった。次も、その次も。
だけど陽はその全部に反応する。さっき話していたときよりもずっと楽しそうに。

――ふふ、おれ、このユニット大好き。綺麗なイメージのコンセプトなのに、自由気ままでなんだか楽しくなっちゃう。
――格好良いよね。プロみたいだ。女の人なのにすごく格好良くて、ドキドキしちゃう。おれもこんな風になれるかな。
――あぁ、先輩たちのユニットだ。うん、可愛いよね。だけど格好良いところもあるんだよ。頑張ってるから可愛いんだ。
――この人たちね、最初はソロで活動してたんだって。だから一人一人の技術が高くて、こんなに格好良いんだよ。
――ほら、見て。ここね、バンドのアイドルなんだよ。歌えて踊れて楽器も出来て、本当に凄いよね。格好良いなぁ。
――このユニットね、皆おれと同い年なんだよ。凄いよね。息ぴったりで、パフォーマンスも完璧。敵わないよ。
――うん、ここ、ちょっと怖いよね。だけどね、凄く格好良いんだ。今を変えようって一生懸命になれるの、格好良い。
――あ、この人、おれの友達のお姉さんなんだよ。おれ、このユニットが一番好きかも。元気いっぱいで楽しいよね。
――あ。


 陽の言葉が止まる。司会の男の紹介する名前に聞き覚えがあった。確かこれは、

「お、おれの、ユニット……」


 画面の下の方に「On your mark!」と表示される。ピンクのツインテールの女子を先頭に、四人の男女がステージに現れた。
 一番後ろには、見覚えのある顔。

 わ、と皆が声を上げる。うるさいな、聞こえないだろ。
 だけどピンクの女子のハキハキとした声は皆の声にかき消されず、しっかりとおれの耳に届いた。

 曲名の後、音楽が始まる。


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作者名:ふくまる | 作成日時:2024年8月13日 11時

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