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「神ちゃん昨夜はごめんな、けど」
「…………」
「オレが彼女と別れたんは、神ちゃんのせいちゃうからな?」
「……おん、わかっとる…けど」
「彼女とはオレがちゃんと向き合わんかったから愛想尽かされた、それだけの事やねん」
「わかっとる…」
「せやから神ちゃんが気にすんことは」
「………ぅねん」
「え?」
「ちゃうねん……」
握ってた手を見おろしながら言い訳みたいに色々言葉を並べたオレは、
予想もせんかった否定に思わず顔を上げた。
色素の薄いヘイゼル色の目が多めの水分でゆらゆらしてるんがわかるくらい近くて、
あいも変わらず長い睫毛が瞬きひとつでもしてもうたら溶けて溢れてまうんやないかて思ったそれが、きっと神ちゃんの感情なんやってそれだけはわかった。
「シゲは悪ない…悪いんはオレや」
「ちゃうよ、なんで」
「………嬉しいて、思うてもうたんよ」
「……………え…?」
「シゲが彼女と別れたん、オレな…嬉しいて思うてもうたんや…」
好きやったから、シゲんこと
言うべきやなかった事を溢してもうたとばかりに口元を覆った手の隙間からも、血色を上らせるとすぐ目立つ耳朶までは隠せるわけちゃうくて。
オレは、
頭が真っ白になってもうた。
え、え?
どういう事や、
オレはアホやからようわからん、
ちゃんと解るように言うてくれ。
オレは神ちゃんの手を握っとった指が、悴んだみたいに感覚が無くなってくのを感じた。
せやから、今度は逆に聞き分けのない子供を刺激せんかのようにするっと手が離れた事に気づくのが遅れて。
声を出してなんとか聞けたんは、
「い…いつか、ら」
「…前のマンションにおった時から」
神ちゃんは、
いわゆる女の子やなく男しか恋愛対象と思えん性質の子らしい。
リアルでそういうんお目にかかるの初めてやけど、
皆巧く折り合いつけてるだけで、都会は別段珍しない事やった。
前の彼氏と付き合ってても、ギターの音が一緒に暮らしたりするのに邪魔になってもうて別れてあのマンションでひとりで残ってたと言うた。
しばらく経って入居して挨拶に来たオレの隣にはもう彼女がおって、
自分がギターをやってて、
うるさかったら遠慮なく言うてやという言葉がどうしても出んかったとも。
オレがその元カレみたいに、神ちゃんの生き甲斐そのもののギターを鬱陶しく思われる事が嫌やったと。
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作者名:闇腐女子Lv15 | 作成日時:2026年1月9日 22時


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