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6話 ページ9

シルクに彼女が出来てから、この公園に彼が来ることは圧倒的に減ってしまった。




私自身も、なんとなくシルクと会うのが気まづくて公園にあまり行かなくなった。





そうしているうちに、3度目の夏がやってきた。




中3になって、受験を考えなくてはいけない時期。

幸いなことに学力が足りないということはなかったため、高校選びはある程度自由がきく。



シルクと会わなくなってもう半年ほど経つのに、未だにことある事に思い出す。



受験勉強に飽きた私は炎天下の中、外へと繰り出した。


行き先はただ一つ。



今まで全然行かなかったのに、今日に限ってなぜあの場所へ向かおうとしているのかは自分でもわからない。


会えるわけないのに、淡い期待を抱きながら。








「やっぱいない、よね。」





空っぽのバスケコートを眺めて落胆する。



わかりきっていたことなのに、こんなにも落ち込んでいる自分がばからしい。



重い気分に飲み込まれそうになるのを振り払うようにその場から3Pを打つ。





放物線を描いたボールはリングに弾かれて地面へ落ちた。





「おー。珍しく調子悪いじゃん。」




とくん、と心臓が跳ねる。



ずっと、聞きたかった声。



1番会いたくて、1番会いたくなかった人。







「…シルク。」



「久しぶりだな、A。」






私の名前を呼んではにかむ彼。



あぁ、やっぱり好きだな。





「お前さ、なんで来なかったんだよ。俺ずっと待ってたんだぜ?」




「え…?」




シルクの言葉に思考が停止する。


こいつ今、なんて?





「待ってよ、シルクなんて言ったいま?」



「聞いてろよ!
俺ずっとこの公園でお前が来るの待ってたんだよ!」



「は?だってシルクが最初に彼女出来て来なくなったんじゃん。」



私がそう言うと、シルクはバツが悪そうに足元のボールを拾い上げシュートを放つ。



綺麗な弧を描いたボールはゴールのネットを揺らした。



「…別れたよ。」


「は?」


「だから、彼女とは別れたっつーの。」

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www - 続きって書けますか? (2019年11月3日 14時) (レス) id: c017dbb3ff (このIDを非表示/違反報告)
www - なるかさん» でしょでしょ?!(笑) (2019年10月5日 21時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)
なるか(プロフ) - wwwさん» これは、続き気になりますねー (2019年10月4日 22時) (レス) id: cc5fc6c73c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - できたらで良いのですが、番外編のような形で今日の深イイ書いて欲しいです。お願いします。 (2019年9月30日 22時) (レス) id: b3e45f8b93 (このIDを非表示/違反報告)
www - 更新よろしく☆ (2019年9月29日 16時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:來(らい) | 作成日時:2019年9月5日 0時

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