拾 ページ11
俺たちを必ず帰らせると言った彼女は、夕方にまたこの神社に来て欲しいと言った。
空蝉曰く、夕暮れ時は此岸と彼岸の繋がりが濃くなるらしい。
他のメンバーは一旦自らの家に戻り、俺だけがこの神社に空蝉と共に居た。
「なんでシルクは家に帰らなかったの？」
彼女がそう問いかける。
帰らない理由なんて、空蝉と少しでも一緒にいたい。それだけで十分だった。
…なんて、そんな事言えるわけはないが。
「なんとなく、な。
それよりさ、1つ、聞いていいか？」
俺はずっと心に引っ掛かっていたことを彼女に問うことにした。
今じゃなきゃ、聞けないと思った。
出会ったあの日から、もしかしてと思いながら今まで目を逸らしてきたこと。
「お前さ、ここの管理人なんかじゃないよな？」
「…」
「…お前も、俺たちと一緒で夏から抜け出せないんじゃないのか？」
「！！」
俺がそう言うと、彼女の目が泳ぐ。
どうやら、図星だったらしい。
そんな空蝉の様子に構わず、俺はさらに続ける。
「なぁ、空蝉。
…お前は、何者なんだ？」
ずっとおかしいとは思っていた。
いつ、どんな時に神社に来ても必ず此処にいる彼女。
その割に、神社のことを教えると言ってもこの場所の歴史や成り立ちは知らない。
そしてさっきの『此岸』と『彼岸』という言葉。
俺の予想が正しければ、彼女も俺たちと同じように…いや、俺たちよりはるか昔から夏に取り残されているのかもしれない。
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りんてん - え、もう感動して涙がポロポロ...。 泣けました！素晴らしいです！！ (2019年10月25日 23時) (
レス) id: e2668604a6 (このIDを非表示/違反報告)
どこか村のだれかさん - 気づいたら読み終わってました！面白かったです！ (2019年9月9日 0時) (レス) id: 3706e8b566 (このIDを非表示/違反報告)
バニレ - とても面白かったです。更新待ってます。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 527198f7e6 (このIDを非表示/違反報告)
www - イエ―イ！面白いよ！相変わらず！ｗ (2019年8月26日 17時) (レス) id: bb2f701b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來（らい） | 作成日時：2019年8月25日 21時
