▽難易度を選択してください【Fischer's】

7話 ページ8

「…では、このような形で進行させて頂きます。本日はありがとうございました。」


「はい！ありがとうございました。」



今日はライブの打ち合わせに来ていた。

まだ発表はしていないが、3ヶ月後にアルバムの発売に合わせてツアーをすることになっている。

帰ったら発表のための枠取らなきゃな。




初めてFischer'sの皆さんと会った日からおよそ1週間が経っていた。

いまだにコラボ動画の件については決めかねている。

Fischer'sさんとコラボなんて、楽しいに決まってる。



けど…









「…嫌われたくない。」



いかに炎上せず、好感度を保ったままこの場所に居続けられるかを常に考えながら築き上げた人気と地位。


いつだって世間の目を気にして笑顔も態度も、人柄でさえも作ってきた。



自分の本心を見失ってまで得たものを、失いたくない。




そんな想いがぐるぐるして、結局Fischer'sさんたちともう一度会う機会まであと2日という所まで来てしまった。






…ん？




…あと、2日？






2日……ふつか……あさ……って…………？









えええええええ！？待って待ってよほんとにまずくないか！？それ！！


誰かに相談する…？

いやいや、相談する相手なんて…





ふと、1人の顔が頭の中に浮かぶ。




「……つっきー。」




るりまっちゃ。突然ごめんね!相談したいことあるんだけど、明日会えないかな…?



気がついたらLINEを送っていた。

遊び以外でつっきーを誘ったのは初めてだ。
きっと、断られるだろう。



彼の忙しさだと、先に予定が入ってるに決まってる。

それに、興味のない相手からの相談なんて困るだけだ。

彼は優しいから、なんらかの理由を付けて断ってくるだろうけど。








そのままLINEを閉じ、家に帰る。


見ないようにと考えながらも、気になって電車の中で何度もスマホを確認してしまう。

やっぱり返信は来ていなくて、その度に少しだけ落胆する。



結局、家に帰るまで彼からは返信がなかった。

作者より《※今後の展開の多少のネタバレ有》→←6話

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