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「恵まれない子でした。」 ページ9

放課後、まゆは1人で
屋上へ行った。
その日は風が少し強かった。
まゆは柵の前に立ち、
下のグラウンドで部活をしている
人達を見下ろした。

「どうするの?
まゆ、ここから落ちるの?」

幻聴だ。
まゆは答えるかのように
柵をまたいだ。
4階建ての学校だから高さがある。
人間は4階から落ちれば死んでしまうと
聞いたことがある。
虚ろな目を閉ざし、深呼吸をした。

「まゆ...いいんだね?」

まゆ「...もういいよ
流石に疲れたよ。
母さんには悪いけど...もう辛いんだ。」

幻聴は黙り、まゆの後ろに
黒い煙と共に現れたのは
階段からまゆを突き落とした子だった。
制服ではなく、タキシードを着ていた。

まゆ「...ねぇ、私は
何をしていれば変われていたのかな?」

「...分からない。
人間というのは理不尽だから
例え変わろうとしても、
結局は違う人にいじめられる
場合だってある。
まゆ、君は恵まれなかったんだよ。
だから...さ、来世に期待しよう。」

幻聴はまゆに
言い聞かせるように言った。
まゆの閉ざした目からは
涙が出ていた。
後ろにいる子は、まゆの背中に
両手を置いた。

「...時間だ、その傷だらけの
身体とお別れしよう。」

トンっと優しく背中を押され、
まゆの身体は傾いた。
そして落ちそうになったときに

まゆ「ずっと__を恨んでる。」

と言い、落ちていった。









ぐしゃ

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作者名:雷鳴 | 作成日時:2018年8月10日 10時

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