水が10L ページ10
『う"ぁ…………』
一通りの作業が終わり、荒れてヒリヒリする手を痛みが引くように押えていれば、頭に激痛が走りグラグラと視界が揺れる。
立っていた足をゆっくりと曲げてズルズルと座り込む。
甲板の中心にある柱へ体を預けて、痛みに耐えながら唸る。
今日に限って、船には船番のゾロしか居ない。
そのゾロですら、今何処にいるのか分からず船医のチョッパーに診てもらおうにも出来ない。
『こんなことなら、あの時ちゃんと診て貰えばよかった……』
後悔しても遅いことを思い、そのまま瞳をゆっくり閉じていく。
眠れば治るよね、そうして私は眠りについた＿
＿＿＿＿＿＿＿＿
気温が下がり肌寒くなってきた頃、時間を確認する為に目を覚ます。
既に空は暗くなっていて、キッチンやチョッパー達の部屋は明かりがついていた。
まだ目が覚めたばかりで意識がハッキリしていないのか、度々目を閉じたり開いたりしながら、近くにあった温かいものに無意識にすり寄る。
そこで疑問に思う。私は確かに、甲板に居て中心の柱に背を預けるようにして座っているだけだと。つまり、近くに何かあるなんてことは人が座っていない限りありえないのだと。
『……え』
恐る恐る目線を温かいそれに向ければ、緑が視線に入り込む。
この正体を私は知っている。知らないはずがない。
しかし、私が眠った頃には居なかった。
それもそのはず、彼が何処に行ったのか知らず私の近くにもいなかったのだから、それなのに。
『ぞ、ゾロ……？』
少し小さな声で、未だ目を閉じているゾロに声をかければゆっくりと片目を開き「やっと起きたのか」なんて言って手を伸ばし欠伸をする。
この状況についていけず、どうしてここに居るのか聞けば 「柱に背を預けてるのに、ズルズル体が落ちていくから支えてやった」と口を開く。
「あとは、お前が辛そうだったからだな」
『え』
そしてそれに続けられるように答えられた、辛そう という単語。
確かに、頭が痛く寝ている間も唸っていた気がする。
それを聞かれていたのかと、今更になって羞恥心が湧いて出てくる。
「俺は飯食いに行く。お前も風邪ひかないうちに早く来いよ」
そう言って、ズンズンと前に進むゾロに慌てて『あ、待って』と呼び止める。
「あ？」と首を傾げながらこちらを振り返るゾロに、震えた声がバレないように息を吸って真っ直ぐ見つめる。
『その、ありがとう』
私の言葉を聞いて、フッと顔をほんの少し緩ませた。
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パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» その為、作中他の女性陣にもメロメロになっているシーンがありますのでこれといって特別恋愛感情がある訳でも描写している訳でもございませんが、今後の展開も含めてご自由にご解釈なさって頂ければなと思います。この度は、コメント有難う御座いました。 (6月11日 3時) (
レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 傷が何かしらで開いてしまった際に対応できるように”治るまでは、船にいて”の意味合いがあります。また、サンジは夢主の事は仲間という認識です。恋愛意識は無いですが、他の女性陣同様キャッキャさせております。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» まず1つ目として、夢主は深い傷を背中におっています。傷もまだ治りきっておらず、海の中に潜り手を伸ばし力を入れるだけで傷が再度開いてしまう。というものを作中で表現させて頂いております。そのため、傷を負っている夢主から目を離さないように、 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
パチュリー(プロフ) - ときたま忍者になる大根さん» 御意見御感想をお寄せ頂き誠に有難う御座います。本編の拙い文で理解ができない部分が多々ありましたようで、大変申し訳御座いません。此方のコメント欄にてお答えさせて頂きます。 (6月11日 3時) (レス) id: 319e9235c5 (このIDを非表示/違反報告)
ときたま忍者になる大根(プロフ) - 夢主がみんなに嫌われていなかったというのはわかるんですが、それならなぜ外出させてくれなかったんでしょうか？あとサンジの夢主への態度がほかの女性とは違う気がするのですがこれはサンジが夢主のことを恋愛的な目で見ているからなど意味が含まれているのですか？ (6月10日 5時) (レス) id: 2086425a99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月26日 0時
