15 沈黙 ページ15
※ヒノカミ神楽ネタバレを含みます
柄の近くからひび割れて落ちた黒刃は、みるみる熱を失っていく。
空気までもが制止したような気がした。
炭治郎の手が震える。
柄の部分も指の隙間からするりと落ちた。
規則正しくリズムを刻む列車の音だけが、聴覚を刺激する。
「…ど、どうしよう、伊之助…、」
背筋に汗が伝った。
伊之助も絶句して、微かに息を震わせている。
「ふふ、ふふふ…その顔、本当に最高だよ…。どうするの?それ。折れちゃったね、折れちゃったねぇ…。」
心底楽しそうにケラケラと笑う魘夢。
伊之助が斬撃を入れた床は既に完治してしまった。
「案外つまらないなぁ…。耳飾りの少年も居るけど、早く始末してしまった方がいい。耳だけは引きちぎって無惨様に献上すればいいよね。」
「待て。」
気づいたら、床に刃を振り下ろしていた。
「い゛っ…なんなの、その刀は…。黒いし、熱い。これまで倒した柱の中に、黒刀は居なかった。」
どうやら、この刀は鬼にめっぽう強いらしい。
「炭治郎くん、これ使って。」
「えっ、でも…、」
「魘夢は確実に傷ついてる。乗客を1人も食べられていない。煉獄さんもきっと攻撃を続けてくれているはず。…炭治郎くんのヒノカミ神楽は強い。」
「ヒノカミ神楽の事まで…。真冬さんは本当になんでも分かるんですね。…分かりました。」
炭治郎がその刀を握ると、メラメラと火がつく。
「伊之助!!もう一度頼む!!」
「任せろ権八郎!!!!!」
獣の呼吸 弐ノ牙 切り裂き
ヒノカミ神楽 炎舞
剥き出しにされた頸に、縦に振り下ろされた刀がぶつかる。
炎舞は、刀を振り下ろした後に素早く振り上げる動きも含まれる。
その為、2連の攻撃を可能にする。
しかし、骨にぶつかった刀はそこで動きを止めた。
これでも斬れないのかよ…!!!
下弦と上弦の強さは比べ物にならない。
分かりきったことだけど、いざ目の前でありありと見せつけられて足がすくんだ。
もうこの刀が折れたら終わりだ。
3人の空気が張り詰める。
「…真冬さん。貴方の力を、貸してくれませんか。」
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名無し - 続きが見たいです (2022年6月18日 23時) (レス) @page21 id: 01efb78f59 (このIDを非表示/違反報告)
かわうそ - 好き過ぎます。豊田議員いて草 (2021年7月12日 14時) (レス) id: 2b3a05bb5d (このIDを非表示/違反報告)
如月、 - 待ってました!やっぱり面白いです(*´ω`*) (2021年1月2日 15時) (レス) id: fc170e4fc8 (このIDを非表示/違反報告)
acero(プロフ) - 気長に待ってます (2020年12月23日 2時) (レス) id: 60f9dea93c (このIDを非表示/違反報告)
Kurea(プロフ) - ちょこちょこ気づき始めてる人いるのは最高です。もうどんどんバレちゃってください。 (2020年11月27日 14時) (レス) id: 45012a775b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろもも | 作成日時:2020年10月23日 23時