【d!】85%の敬愛 (ページ17)

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トルコ帽を被り，ニコニコと糸目で笑う男。自己紹介された時には見なかったような…
他の人よりは少し長めの髪に加え，しなやかな手をしているので，女装すれば普通に女の子に見えそうだ。いや私がそういう趣味をしているわけじゃないからね。

｢へぇ〜，意外と可愛らしお顔しとるんやな，さっきは外出中で話せなかったんや，俺はオスマン。よろしくめう〜｣

語尾が可愛らしいが声質や一人称からしてやはり男なのだろう。不思議な雰囲気を纏っている。
一度に色々な人の名前を覚えたばかりなので，もうすんなり覚えることが出来た。

『オスマンさん…ですね！よろしくお願いします』

ぺこりと会釈をすると，オスマンさんは可愛らしい仕草で私に微笑んでくれた。
なんだろう，ゴリラしかいない島で人間に会えたような安心感がある。別に彼等がゴリラって訳じゃないよ？顔は整ってるよ？顔“は”ね。

｢夕飯の支度が済んだから呼んでこいって伝達しに来ためう，皆待っとるから行こか｣

｢せやなー，俺も腹減ったわ。行こやA。｣

──────

『これまたすっごい広い所ですね…』

｢ご飯は皆で食べるのが習慣みたいなもんなんや，十数人ひとつに収まる部屋は結構広ないとあかんやろ？｣

オスマンさんが丁寧に説明してくれる。長いテーブルの周りで，先程会った人達がお喋りしていた。休み時間中のクラスメイトを連想させる。

｢あ，さっきぶりやね！Aさん！｣

少し離れたところからショッピさんと鬱さんと共にこちらを見る男は，要注意人物(私調べ)の1人，チーノさんである。大きく手を振ってくれる仕草はとても愛らしいのだが，いかんせん先程の謎行動のおかげで少し警戒心がある。

｢やっと来たかぁ，ちっすちっす｣

チーノさんに目を向けていると，目の前に緑色のパーカーを羽織った男が顔を出した。要注意人物名誉ある1位，ゾムさんだ。こうしていれば唯の顔の整った人なのになぁ…と思いつつ彼に微笑む。微笑むとは言っても若干引き攣っているのだが。
彼等の近くで忙しなく歩いている人達は使用人だろうか。次々と美味しそうなご飯がテーブルに並べられていく。
立場的には私も使用人と同じ…いやそれ以下なのだろう。何故こんなにももてなされているのかが理解出来ない。
そうこうしているうちに，夕食の用意が整ったようだ。良い香りが鼻をくすぐる。私は彼等の動きをまじまじと見ながら，その香りに顔を綻ばせた。