愛を唄おう (ページ20)

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彼女の話　side銀太ページ20

遠ざかっていく2人を見つめていると、身体中が軋むように痛んだ。

あぁ、やっぱり俺は入れねぇ。

「銀ちゃん！あっち行こ」

「あ、あぁ」

俺の方が、脇よりも今のAさんを知っとると思っとった。

でも、蓋を開けてみれば、脇と同じくらい彼女のことを知らない。

あーあ、俺何でこんな面倒くさい事しとるんやろ。

いつもなら、好きになったらセックスして終わりで、やったらもう興味を失う。

なんで、あの人とはしたくねぇんやろ。

こんな風に思うのが久々でどうしたらいいかわからない。

行為どころか、手を繋ぐのすら躊躇ってしまう。

髪の毛一本触るのにも、相当勇気がいる。声をかけることも、彼女の名前を呼ぶ時も。

全部ドキドキして、顔が熱くなって、頭が回らなくなる。

諦めたいと続けたいを毎晩毎晩繰り返す。

「銀太、あんたいつの間にユリちゃんと仲良くなったん？」

「ふぉいと遊んでた時に晴翔が迷子になっとって、そっから…」

そういや、2人と出会ってからそんなに経っとらんのか…

そりゃ俺より脇の方が知っとるよなぁ…

「はぁ…」

「銀ちゃん？だいじょうぶ？」

「おぉ…」

「…ねぇ、知りたい？」

「何を」

「ユリ、、Aちゃんのこと」

ゴクリ、喉が鳴る。

サクラに聞けば、俺の方が彼女のことを知れるかもしれん。

そしたら、助けてあげられるかもしれん。

でも…

「どうするん？」

あぁ

「教えてくれ、俺に、Aさんのこと」

ごめんなさい、Aさん。