【天月】天使の仮面を被った悪魔。

29話＊ ページ29

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帰る前にカラオケでストレス発散でもしようと思ってたのに、天月がいるから無理だ。
私は超がつくほどの音痴だからね。この前友達にめちゃくちゃ笑われたわ。



『...あのさぁ、もうちょい離れようよ。そして今日は大人しくしてろ。』



天月「え、なんで？僕達の仲でしょ？いいじゃん。」



私達の仲ってなんなんだろ。
仲もクソもなかった気がするのは私だけかな。

肩と肩が触れ合っているこの距離。私よりも少し身長の高い天月を盗み見ると、教室での顔とは違って”可愛い”ではなく”カッコいい”顔をしていた。

クールにしていれば、女子からイケメンだのカッコいいだのと叫ばれていただろう。
今は可愛いと天使が主流。

なんかそれが憐れに思えてきて、ジト目で天月を見ていると何故か鼻で笑われた。



天月「失礼なこと考えてたでしょ」



『まぁ、間違えではないよ。あといい加減に離れろよ』



機嫌が悪そうにそう言えば、分かった分かった、と拳一個分ほど隙間を開けてくれた。

...拳一個分ほどだからまだ近いんだけどさ。
まぁ、さっきよりはマシだ。



天月「ねぇA、遊びにいこーよ！カラオケ行きたい！」



『......』



馬鹿なのか、コイツ。

ゲームで勝ちたいからって遊びすぎだろ。バイトで溜めてるとはいえ、一人暮らしの生活には辛いぞ。

...まぁ、私も行こうとしてたんだけどさ。


やっぱり、私には拒否権がなかったらしく、ガンガンと腕を引っ張られていく。

傍から見ればナンパされたときの女の子並に嫌な顔をしているだろうな。

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