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パタン、と玄関のドアが閉まって、遂にそらるさんの顔が見えなくなってしまった。

最後に見た顔が悲しみに染まった表情だったのは些か心が痛むが、ここは仕方が無いので何も考えないことにした。

……さよなら、ありがとう皆。

1度振り返り、シェアハウスの外壁を眺めて心でそう呟いた。

もう戻れないから、と見慣れた住宅街を早足で歩く。予め予約して待たせておいたタクシーに乗り込み、すぐに目的地を告げて急ぐように、とお願いした。

発進した車内で、私は窓の外をぼーっと眺めて流れていく街並みをただ流し見ていた。



「お客さん、空港に行くだなんて、どこかご旅行にでも行かれるんです?」



『えぇ、まぁ……少しだけ、遠くに行きたくて』



私が始めに向かおうとしたのは空港。

勿論の事、海外に行くつもりは毛頭ない。英語なんてものは喋れないし、まず引きこもりで人見知りの私が行く場所ではないからだ。

遠く……1番早いフライトで、適当にどこかに行くつもりだ。

つまりは完全なるノープラン。

呑気にこれからどうしようか、と若干客観的に思考を巡らせていると、突然LINEに通知が大量に入ってきた。通知の音が止まらない。

確認しよう、と通知が鳴り止まないアプリを開くと、メッセージと着信が増え続けていた。

なんと、先程少し騒いだ所為で皆を、早朝から起こしてしまったらしい。



『(……みんな優しいなぁ、)』



ブロックしてしまえば、簡単なんだと思う。

けれど、私はそのボタンをタップすることなく通知だけを切ってスマホを鞄の中に静かに仕舞った。

るったん、大丈夫かな。

くろちゃん、泣いてないかな。

歌詞さん、自分を攻めてないかな。

うらたさん、物にあたってないかな。


捨てたくないって、心のどこかではそう思ってるから、心の弱い私はこんな事をしても尚拠り所を求めてしまうから、私は皆との連絡先を消すことが出来なかった。



『(……捨てきれないよ、大切な思い出だもん……)』



頬に伝ってスっと流れ出したのは、間違いなく悲しみの涙だった。

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作者名:シュリンク&starlily x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月6日 0時

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