【ヒロアカ】【第五人格】我が個性、我が人格 (ページ8)

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彼は自室にあった筈の私の手帳を取り出すと、起き上がる時に握っていた手にそっと手帳を置いた。紳士ここに再臨。

『ありがとう！…でも良く場所分かったね。』

＿＿もう分かっています。

『へ？』

「実はAが部屋のソファーに手帳を置き忘れているから渡すように“彼”に頼まれていてね。」

占い師の代名詞とも言えるあの言葉が、炭鉱者の口から聞こえたものだから間抜けな声を上げてしまったが、成る程そういう事だったか。
ノートンの言う“彼”とは勿論イライの事だろう。

…それで当の本人は何処よ。普通に会いたい。というかポッポちゃん触りたい。

「あと彼からもうひとつ伝言……時間は平気かな？」

それを聞いた私は分かりやすく青ざめた。

『…アカンやつ。これアカンやつや…。ちょっと行ってくる。』

目を伏せて意識を荘園の外へ集中させる。

「うん、いってらっしゃい。
………その制服、とっても似合ってるよ。」

不意に言われたその一言に自然と口角が上がっていくのが自分でもわかった。

『今日はじめてソレ言ってくれた！ありがとうノートン！好き！』

意識が外に引っ張られる間際に出来る限り連投コメントをして私は荘園を出た。

ノートンは私が荘園を出るまで、ゆったりとした笑顔で手を振っていた。

……シダの葉のマークが音をたてて割れた。

「………制服を褒めたのもイライ君だったんだけど…つい“言い忘れて”しまったな。うっかりしていたよ。」

全く悪気もなさそうにそう独り言をこぼしたノートンは、占い師が去り際に放った言葉を思い出していた。

＿＿＿役得とはいえ君もなかなか美味しいところを持っていくねぇノートンくん。