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その1 ページ1

どのくらい、走っただろうか。






「なんだこの森...全然抜けられない!!!」







忍びは鬱蒼とした森で修行を積んで、そこを駆け抜けて情報伝達をしなければならないというのに。

可笑しなことに、先程通った道に何度も何度も戻ってしまうのだ。







「こんなの初めてだぞ、どうすれば...」







なんとか解決策を絞り出そうと頭をフル回転させていると、奥から人が走ってくる音が聞こえる。








「な...何奴!!」







サッと手元の脇差に手を置き、刀を抜く。






今ここで足止めをくらっている暇は無い。
一刻も早く味方に伝達を...





そう思っていると、足音がした場所から一気に敵方の兵士たちが襲撃してくる。






おかしい、このあたりには敵方の兵はさっきまでいなかった筈なのに







―まるで、時空が歪んでいるかのような感覚だ。









「忍びだ!!女忍びだぞ!!!!」








大声で怒鳴りながら、こちらへ刀を振ってくる。







「クソッ......面倒臭いな」







どうしようもないので、とりあえず敵兵の刀を弾きながら走る。

すると








ザシュッ








足首に鋭い痛みが走る。






「うッ......」






足首を斬られたのだと自覚した瞬間、初めて冷や汗が背中を伝った。

このままでは逃げきれない、死ぬしかない__







そう思い唇を噛み締めた瞬間、









「弱い者虐めは見逃せないタチなんだよね」









誰かの声が響くと同時に、敵方の兵が倒れる。








「だ、誰__うわっ」









正体を確認しようと一歩踏み出した瞬間、身体が浮く。









「ここにいてもいつまで経っても抜け出せない。少しの間辛抱しろ。」







少し黒い肌色の茶髪の男が、私を担ぎ上げる。








「降ろして、一人で歩ける!触るな!!!」






ジタバタと暴れていると、近くにいたまた他の男から手刀を食らってしまい、私は気を失った。

その2→



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作者名:にわ | 作成日時:2020年2月7日 19時

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