心配と恋慕 ページ4
(一人)「えっと、膝丸…？
どうしたの？」
膝丸は私の手を優しく掴んだままどんどん人気の無い方へ進んでいく。
(一人)「(何か気に障ることでもあったのかな)」
そして、ほとんど男士が来ることのない厠の前で止まる。
一体どうしたのかと思った時、膝丸がこちらを振り向く。
膝丸「主、一体なぜそこまで鶴丸にこだわるんだ？」
そう言い放った彼の顔は、何かに耐えているような表情だった。
(一人)「いや…べつにこだわってる訳じゃないんだけど、少し変わったなぁって思って…心配で…
でも膝丸は気にしなくていいんだよ？
べつに酷いことされてる訳じゃないし」
私がそう言うと、膝丸は何かを決心したように私を真っ直ぐ見据えた。
膝丸「あぁ、そうだな。気にしなければいい話だったな。
…だが、もうそういう訳にはいかなくってな」
彼はその瞬間、私の手に指を絡め、
私を抱き寄せる。
(一人)「ひ、ひざまる？！
ねぇ、どうしたの…？！」
膝丸「最初のうちは君のことを心配していた。
あんな扱いを受けて…と。
それがいつの間にか恋慕に変わってしまった。」
はぁ、と苦しそうに漏らす彼の吐息が私をゾクリと震わせる。
その時
鶴丸「おい、お前たちいい加減任務に＿＿
…何してんだよ、膝丸」
なんと私たちの場所を突き止めた鶴丸さんが、
この現場を見てしまったのだ。
膝丸はその瞬間、私の頬を包む。
そして＿
(一人)「んっ…」
口付けをした。
鶴丸「っおい！ふざけるな！！」
鶴丸さんは勢いよく膝丸の肩を掴む
膝丸さんの唇が私の口から離れ、
その瞬間に鶴丸さんは私を片腕で抱き寄せた。
鶴丸「何のつもりだ、膝丸」
膝丸「それはこちらの台詞だな。
…あんなぞんざいな扱いをしていたのに、
お前はなぜ今頃になってそんなにムキになっているのやら」
はっ、と乾いたように笑った膝丸さんは、そのあとは何も言わずそこを離れた。
二人きりになってしまい、私は焦った。
私を抱き寄せている鶴丸さんの腕の力は、緩むことなく私を包んでいる。
”なんてことをしてしまったんだ、”
とでも言っているかのように。
＿あぁ、私がもっと早くに鶴丸さんのことを諦めていたら。
昔の恋なぞ忘れて、悲観的になんてならなければ。
膝丸と鶴丸も、こんな険悪になることはなかったのに。
(一人)「鶴丸さん、ごめんね
今までありがとう」
私はそう言って鶴丸さんの腕から離れた。
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にわ(プロフ) - tomo10260403さん» コメントありがとうございます、誰かの幸せを生み出せた事がこの上なく嬉しいです...！読んでくださってありがとうございました！ (2020年1月28日 0時) (
レス) id: dc9a723a5e (このIDを非表示/違反報告)
tomo10260403(プロフ) - とても楽しくて一気に読んでしまい、読み終えた後、すごく幸せな気持ちになれました (2020年1月27日 22時) (レス) id: f4aa91fff9 (このIDを非表示/違反報告)
なな - ありがとうございます！今まで見てきた小説の中でも本当に面白くてまだかなぁーなんて思いながら待ってました！本当にありがとうございます (2019年12月17日 23時) (レス) id: 6a8e4241a3 (このIDを非表示/違反報告)
にわ(プロフ) - ななさん» お待たせしました！続きをお楽しみください！小説読んでくださってありがとうございます！ (2019年12月14日 20時) (レス) id: 9ced130178 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 続き待ってます！ (2019年12月14日 16時) (レス) id: 6a8e4241a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にわ | 作成日時：2019年12月6日 22時
