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陸拾壱. ページ15

この日、私は初めて鬼を見た。






後でわかったのだが、稀血である私の匂いを嗅ぎ分けて…山から降りてきたのが、この鬼だったらしい。








「Aちゃん!にげて!」





『え…?!』





「早く!俺が…Aちゃんを守る!」









私は腰を抜かして、その場にへたり込んでいた。








そして次の瞬間、私の幼馴染…大切な人は、無残に殺された。







『いやぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!』






「ガキの肉はうまいが…稀血のガキの方が、何倍もうめぇよなぁ?!」









死を覚悟したその時









鬼の首が、転がった。









目の前には、男の人が刀を持って立っていた。









私は、幼馴染が目の前で惨殺されたショックと


目の前の男の人の「強さ」への衝撃が混ざり、複雑だった。








でもやっぱり涙は止まらなくて。









『私は……何も出来なかった…』





?「……泣くな。

もう大切な奴を失いたくないのなら、他人を守れる強さを身につけろ。」








『守れる……強さ……?』








?「俺がもう少し、あと数分早く来ていたら助けられた。

悪かった、助けられなくて」









男の人は、悔やむようにしてそう言った。





でも、この時私に今の力があったら…大切な人を救えていた。









幼馴染が、私を守ろうとして鬼に立ち塞がった、勇敢な背中。



そして、今になってわかったが…あの鬼殺隊の男の人の力。








このふたつが、私に大きな影響を与えた。









その日から私は、死ぬような思いをして鍛錬に励んだんだっけ…



そして村に来る鬼は、片っ端から叩き潰した。



今は、藤の花を村の近くに咲かせているから…以前と比べたら、全く鬼は来なくなった。







村の人は私を「守り神」と呼んだ。





日に日に、「守らなきゃ」「私がしっかりしないと」っていう気持ちが膨らんで、苦しくなって。





怖い、辛いとか…弱音が吐けなくなった。





私が笑っていないと、村の人達は不安になるから。









……でも、もう守れない。


守る力がない。









「……ごめん、ね……いつも守ってもらって…ばっかりで、守ってあげられなくて……」









善逸は、「守ってあげられなくてごめん」と言っていた。




……私は守られる立場じゃないのに。






でもそんな言葉が…どこか、私の大切な人と重なった。

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ひかり(プロフ) - craneberry1223さん» すいません!直しておきました! (2019年10月19日 11時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
craneberry1223(プロフ) - 伊之助と村田のセリフ直してください。全部、伊之助になってます (2019年10月19日 10時) (レス) id: 1013b94a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年9月29日 1時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年9月29日 1時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 吹雪咲彩さん» ふぶちゃーん!!ほんと?!ありがとう(*^^*) (2019年9月28日 12時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかり | 作成日時:2019年9月23日 15時

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