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伍拾玖. ページ13

でも、じいちゃんは……







何度だって根気強く俺を叱った。


何度も何度も逃げた俺を、何度も何度も、引きずり戻して……









明らかにあれはちょっと殴りすぎだったけど。









俺を見限ったりしなかった。









「善逸」






鈴の音と一緒に、透明感のある綺麗な声が俺の名前を呼んだ。




そうだ、彼女も………









こんな情けない俺を、見捨てたりはしなかった。









***









「もっと毒を打ち込めぇえ!!」









『ぜ、ん…逸…』









善逸は、人面蜘蛛が吐き出した毒を避けた直後、吐血した。




明らかに私が浴びた毒よりも、善逸の毒の方が強力だ。




「匂い」がそう言っている。









ダメだ、こんな所で……いつまで私は、クモの巣に引っ付いてるつもり?







でも、手足が痙攣して上手く力が入らない。









善逸は、吐血して地面に片膝をついている間に、何十匹もの人面蜘蛛に飛びつかれた。









「ヒャハハハハッ…!これでこいつも…!!」









だめ、だめだ。


私は無理矢理力を入れクモの巣から落下する。



そして刀を手に取った。









『光の…呼吸…!



伍ノ型……光波(こうは)!』









「お前、いつの間に……?!」









この技は……光の波動で、衝撃波を起こす。




受身以外で使う機会は無いと思ってたけど…まさかこんな所で使うとはね。









それと同時に、善逸の体が稲妻のように光った。









「な、なんだ…?空気が揺れる……!」








善「雷の呼吸…壱ノ型


霹靂一閃。六連」









「消えた?!」









私は地面に片膝をつきながらも、その戦いを見ていた。







雷のような速度で、鬼の周りをとびまわる。









月と、善逸の影が重なった。









そして…鬼の首も、斬られていた。









『……!』









善逸は、糸で吊るされた木の家みたいなものの上に、どさりと落ちた。









『善…逸……!』









私は最後の力を振り絞り、善逸の所まで向かおうと足をゆっくり動かした。





自身の口からながれおちる血は、確実に毒が体を回っていることを物語っていた。









***









…夢を見るんだ。幸せな夢なんだ。

陸拾.→←伍拾捌.「極める」



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ひかり(プロフ) - craneberry1223さん» すいません!直しておきました! (2019年10月19日 11時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
craneberry1223(プロフ) - 伊之助と村田のセリフ直してください。全部、伊之助になってます (2019年10月19日 10時) (レス) id: 1013b94a43 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年9月29日 1時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年9月29日 1時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 吹雪咲彩さん» ふぶちゃーん!!ほんと?!ありがとう(*^^*) (2019年9月28日 12時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひかり | 作成日時:2019年9月23日 15時

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