【HQ】隣の314号室【日向翔陽】

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午後8時半。

家について、ご飯を食べ終わり携帯を触ったりテレビを見たりと自由時間。


…そしてまた、あの音。


バン、バン、と壁に何か当てている音。


その音は20分くらい続いた。


家賃は割と安めであるが、テレビの音漏れなどはせずそれほど壁は薄いわけじゃないと思う。

もう今は静かだし、と考えるのをやめてお風呂に入った。



*****

次の朝。いつものように7時半に家を出る。

そしてまた、オレンジヤンキーさんも家を出るときだった。


「はざっす！」

『お、おはようございます…』


「電車通勤すか？」

『ハイ』


何故か尋ねると、俺もなんで駅までご一緒しましょ！！とまた笑顔。


断る理由もないし、承諾した。



「俺日向っていいます！日向翔陽！」

『伊藤Aです…』


コミュ力オバケだ。コミュニケーション能力が高すぎる。

しょうよう、て聞いたことのあるような名前。珍しいけれど。


「お仕事なにしてるんですか？」

『経理、です』

「ケイ、リ…。すんません、俺が聞いたのに全然わかんないっす」

『ふふ、日向さん面白いですね』

「いやただ勉強できないだけなんで！」

オレンジヤンキーもとい日向さんは照れて頭をかく。


『そういう日向さんは何のお仕事されてるんですか？』

「俺はバレーしてます！」


『バレー、ですか』


バレーしている、というのはどういうことなんだろうか。

「うす！バレーずっとしてたいです」

『大好きなんですね』


はい！とキラキラした目で見てくる。


結局、バレー大好きなフリーターってこと？

そういえば、北先輩もバレー部だったって言ってたなあ。

「よかったら、観にきます？…あ、興味なかったら捨てて下さい！」

と、チケットのようなものを渡された。


『ありがとうございます、観に行きます』

日付を見ると今週の日曜日。
暇だしいいか。


チケットも本格的なもので、今バレーボールって結構人気なんだなとしかこの時は思わなかった。

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