当たって砕ける ページ25
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私が溢した言葉を聞いて、翔陽は目を大きく見開いた。
「………A？」
『–––––大人になった翔陽はかっこよくなってるからさ。そのままでいてね』
熱があり朦朧としている中で、私の言葉を考えているらしい翔陽。
『ばいばい』
翔陽に付き添っている先生に変な目で見られる。
そりゃあそうか。
翔陽とはすぐに別れて、私は黒尾さんを探しに行った。
まだ、いるはず。
『–––––––あ、あの！』
赤いジャージ、高身長かつ独特な髪型で目立っている彼。
「ん？ああ、烏野の」
『ちょっと、いいですか』
誰もいない廊下に2人で来た。
「まだ烏野試合やってるよな？試合見なくて良いのかよ」
『––––さっき、私のこと知らないって言ってましたよね』
「あー、気に障ったんならすまん」
『いや、それは全然良いんですけど。全く記憶に無かったんですか？』
「結構烏野とは練習試合してたから全員の顔くれえわかってたと思ってたんだけどな。お前だけはわかんなかったんだわ」
でもどっかで見たことあんなとは思った、と手を顎に触れながら言い放った。
どっかとはどこだろうか。
翔陽との結婚式には黒尾さんは呼ばなくて、でも手紙は送りたいと翔陽は言っていて。
そこで見たってこと？
それなら黒尾さんも、私と同じということになる。
当たって、砕けてみる？
『–––––––––翔陽は高校卒業したら何すると思いますか？』
「え？その質問謎だなオイ。……まあ、どっかの国にでも言ってんじゃねえの？ブラジルとか」
ちょっとニヤリと口角が上がっている。
絶対この人確信犯だ。
『奇遇ですね。私もそう思います』
そう言うと、黒尾さんはまた口角を上げた。
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作者名：池田
| 作成日時：2020年7月3日 12時
