まあ死ぬのも悪くない ページ32
「伏黒君、ごめん。もう、無理…。」
「…オレの十種の影法術は、まず2匹の玉犬だけが与えられる。」
私たちは多分、もう戦えない。
家入さんの所に行ける訳でもない、目の前にいる男女を倒せる術を今は持っていない。
だから、彼がしようとしてることが分かる。
「それ以外の式神を扱うには、まず術師と玉犬で調伏を済ませなければならない。」
「手持ちの式神を使いながら駆使し、調伏を進めることで十種の式神を手にすることが出来る。」
最後に、悠仁の顔を見たかったなあ。
野薔薇に会いたかったな、真希さんやパンダ先輩…狗巻先輩のことを思い出す。
ついでに五条先生も。
そして、思い出したくもない宿儺の事も。
「…終わり?さっきの女の子もだけど皆すごく強いね、若いのに。ボロボロなのに俺に近寄るスキを見せない。でもその出血じゃ俺が何もしなくたって、ほら。」
強いって言うんなら変な術式使わないで倒されてよ。
っていうかアンタが変なところに刀刺すから、肺に血が沢山入って痛いどころじゃないんですけど。
そんな痛みの中、目も開けられないけれど伏黒君が私の近くに倒れ込んだのがわかった。
「調伏はな、複数人でも出来るんだ。だが複数人での調伏は、そのあと無効になる。つまり当の呪術師にとっては、意味の無い儀式になる。でもな、意味は無いなりに使い方はあるんだ。」
伏黒君の手がピタリと私のおでこにつく。
いいよ。と伝えるようにその手を包めば、伏黒君が笑った気がした。
「続きだ。要は式神は調伏しないと使えないが、
伏黒君の呪力が大きくなるのを感じた。
あーあ、私本当に死ぬんだな。それで人が助かるなら、悔いはないけど。
「歴代十種の影法術師の中に、こいつを調伏出来た奴は一人もいない。」
「布瑠部由良由良」
アオーーーンと、玉犬の声がする。
ああ、来たんだ、あの化け物が。
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作者名:夜行性 | 作成日時:2021年1月4日 19時