〃 ページ23
Aside
その後、まふちゃんはぎこちない笑みを残して家を出て行った。
俺はすぐに風呂に入り、長いこと浸かっていた。
「人生は何事も経験…か、」
ぐずぐずしていても俺にはやらなきゃいけないことがある。
明日の台本の確認、新曲の振りや共演者についてとか来週から始まるドラマの台詞とかを覚えなくては。
しかし、驚いたことになんのつもりか、
リビングに戻ればまふちゃんがいた。
いや怖。
幻覚でもそうじゃなくても、なんでいんの？
「…まふ、ちゃん？」
「ごっごめん！やっぱり返事しなきゃ、後悔すると思って、それで、たまたま、鍵が開いてたから…」
「あー…。また閉め忘れたのか」
にしても、本当に彼は真面目だ。
返事なんてしたも同然なのに。
傷口に塩を塗るつもりなのか。
そこまで来たらもう天然というか、ただただ小悪魔な気もするんだけど。
「いいよ、そんなの別に。気まずいでしょ？」
俯いたまま、うんともすんとも言わないから流石に嫌気が差して俺はウォーターサーバーから水を注ぎにキッチンの方へ足を運んだ。
「まふちゃんも水飲＿＿＿っ」
「僕も、…すき」
不意に後ろから抱き着かれ、心臓が嫌な音を立てた。
かと思えばまさかの発言に鼓動が高まる。
…は？
まふちゃんが、俺を、好き？
そんなバカな。
「ほんとに良いから、そういうの。フラれて仕事に支障出したりとか、まふちゃんに危害加えたりとかしないから」
「そんなんじゃっ！…そんなんじゃない、ほんとに、ほんとに好きなの」
ぎゅっと腕に力が込められれば、束縛感を感じるのは体なんだろうけど、何故か心までも縛り付けられた気がした。
真偽を確かめたくてまふちゃんの目を見た。
その目にはある種の熱があった。
俺が今まで嫌というほど見たそれ。
遊びで告白してくる子よりもずっと戸惑う、その熱を持った人。
「…本当に、好きなの？俺のこと、」
ゆっくり頷いた彼は、はにかみながら“だいすき”と言った。
この上ない歓喜に満ち溢れた。
水の入ったコップは床に落ちて、ただひたすらに抱き締めた。
「絶対大事にする、付き合おう」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
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ちよひめ(プロフ) - 需要あります！次の作品も待ってます。本当におもしろかったです。 (2022年8月22日 10時) (
レス) @page50 id: 7bd8410718 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 最高です 神作品です何回も読んでしまいます！！！更新じゃんじゃんしてください！！！神作品でもう出会えて嬉しすぎます！更新待ってます！！！ (2022年5月30日 15時) (レス) @page35 id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楽流 | 作成日時：2021年12月24日 9時
