Teenager Forever ページ36
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「研磨、俺やばいかも。」
「……。」
インターハイに向けた東京都代表選を惜しくもベスト8で終えた音駒。
最終試合の翌日の練習終わり、研磨の部屋で肩を並べてゲームをしていた二人はぼうっとテレビ画面を眺める。
「あ。稲荷崎、兵庫県代表でインターハイ出場だってさ。」
ゲームをひと段落終えた研磨はネットニュースを漁る。
表彰式の映像と宮兄弟のインタビュー、ベンチのAがダイジェストで映る短い速報映像がスマホの画面に流れる。
「今それ見るの、結構くる。」
「うん……まあ俺たち負けたしね。」
「A、なんでそんな映ってんの。世間にバレるだろ。可憐なことが。」
研磨はピタリと手を止めた。
修学旅行から戻ったきり拍車をかけた黒尾の親バカ、もとい独占欲に研磨はうんざりしていた。
「いつからだっけ、クロがAに執着しだしたの。」
「執着とか言いなさんな。愛だよ。」
研磨は恥ずかしげもなくそういう黒尾を冷ややかな目で見つめる。
黒尾はそんな研磨の視線は気にしない。
代わりにスマホの写真の”Aフォルダ”を開けてスクロールする。
「うわあ……増えてる。」
「これ一番最近の。」
Aの後ろ姿など。
兵庫の家で玄関の戸締りをしている様子だ。
研磨はげんなりしながら半強制的に見せつけられる写真を見る。
どのAも表情が意外にもそれぞれ違う。
気を許した幼なじみにしか見せない顔。
研磨も写真を見つめ、思いにふけった。
「二人はいつ付き合うの。」
「えっ」
研磨のいかにも普通です、というような質問に黒尾は拍子抜けしたような声を出す。
情けないね、と鼻で笑う研磨。
「……中学の頃、教室でもAとクロがくっつかないか女子の間で噂されてたよ。」
「流石に、知ってる。でも」
「うん。Aが半ギレで否定してたから、クロの心もズタボロに……なんてことあったよね。」
黒歴史を思い出した、というように頭を抱える黒尾。
研磨はスマホを放り投げコントローラーを構えて画面を操作する。
カーソルは”RETRY”の文字を踏む。
「……兵庫でクロのこと待ってるAとビデオ通話してたけど、恋人待ってる人みたいな表情だった」
「あんたは恋人待ってる人の表情とか分かんのかい。」
「……。」
「研磨さん。何が言いたいのかな。」
黒尾が研磨の背後からコントローラーを奪い、カーソルを移動させて”BACK”の文字を踏む。
研磨は振り返り、キッと黒尾を睨んだ。

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もちもち(プロフ) - みりかさん» (´•̥ω•̥`)いつもありがとうございます!続編もぜひおって頂けると嬉しい限りです……! (9月4日 19時) (レス) id: f81301e636 (このIDを非表示/違反報告)
みりか - 爆泣きしました、、(´;ㅿ;`) (9月2日 18時) (レス) @page49 id: 2c07cb6f0a (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - TNさんさん» ありがとうございます!!お好みでよかった!! (8月24日 10時) (レス) id: f81301e636 (このIDを非表示/違反報告)
TNさん - とても大好物です!(?) (8月21日 12時) (レス) @page28 id: 062c590937 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - みりかさん» ありがとうございます!コメント励みになります!頑張ります! (8月20日 22時) (レス) id: f81301e636 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:keko184 | 作成日時:2024年8月12日 18時