空っぽ ページ5
アーサーが眠って何時間経っただろう。そんなことを考えてたらアーサーの心拍数が下がり始めた。
「アーサー!」
俺は急いで医者を呼んだ。俺から見てもわかる、凄く深刻な状況だ。
「アーサー…アーサー…」人前で泣くのは柄じゃないが今はそんなの関係ない。少しして第8のみんなが来た。みんな願うしかない。そんな状況だ。10分くらいたっただろうか、俺はもう絶望しか無かった。
アーサーが息を引き取った
俺は今までに無いくらい泣いていた。ただ、何も考えずにずっと泣いていた。アーサーの手を握ったまま。
運命とは残酷なものだ。俺から大事な人を簡単に奪っていった。もう俺には何も無い。何も考えられなかった。
俺は傷が回復し、無事退院出来た。だけど嬉しさなど感じなかった。みんなは一生懸命俺を元気にしようとしてくれた。でも俺はそれに答えられなかった。
いつもの部屋に帰ってきた。だけどいつもと違う。アーサーが居ない。冷たくなった布団、使われなくなった机。俺の部屋は空っぽだ。
「そういえば…今日俺誕生日だっけ…」
こんな悲しい誕生日は初めてだ。今日はアーサーと出かけるはずだった。みんなで誕生日会をする予定だった。なのにあいつは居ない。
「もう寝よ…」
俺はアーサーのベットで寝ることにした。
「あいつ、机見せてくれなかったな」
俺は寝る前にアーサーの机の引き出しを開けてみた。そこには箱と紙が入っていた。
『森羅へ
誕生日おめでとう』
箱にはお揃いのブレスレットが入っていた。俺は腕につけた。
「お前がいねぇからお揃いじゃねぇよ…」
俺は大事にしまい、その日は寝た。布団に入るとアーサーの匂いがした。俺はまた泣いた。
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作者名:ココ岡。 | 作成日時:2020年1月7日 22時