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琴葉side
『…………どうしよう』
皆さんこんにちは。
小鳥遊優、改め、小鳥遊琴葉です。
現在高校生組で今夜の晩御飯の買い出しに来てます。
「しーくんどったの？」
『……ん、なんかこう、答えの見つからない問いというか……。
答えてはいけない問いというか…』
「つまり何かしら悩んでますね。
貴女の悩みって面倒くさい……失礼、予想外の展開に転がって爆発するので、ちゃんと周りに話してください」
『面倒くさいっていった』
「言い直したでしょう」
あまりにうんうん考えていたのがバレたのか、環くんがのんびりした口調で聞いてくる。
ここは乗っかって相談したいところだけど、流石にいえない。
という訳で曖昧に濁すと一織くんに釘をさされた…のかな？
自分でも面倒くさいって思うときあるから言い返せないけど……ちょっとショックだぞ。
買い物かごが乗ったカートをガラガラ転がしてメモを見ながら次々に品物を入れる一織くん。
次第に環くんがふらふらと離れた。
お菓子でも買いに行ったのかな。
値引きシールの貼られた商品が雑然と入ったワゴンを物色する。
ふとガムとオモチャの入った箱を見つける。
手にとって眺めていると、一通りカゴに揃えたのか、一織くんが近くにきて私の手の内を覗いた。
「懐かしいですね。仮面ライダーですか」
『そうみたいだね』
なんとなくパッケージ裏の説明書きだとか、注意事項だとかを読んでいると、小さな男の子がお母さんらしき女性と手を繋いでトコトコ歩いてくる。
「あっ！まま！まま！！これ仮面ライダー！！！」
「そうだねぇ。お名前何て言うの？」
「仮面ライダー…………ポメ！！！」
拙いながら、体を大きく使ってセリフや決めポーズまで再現しているのはとても可愛らしかった。その証拠に一織くんが震えている。
ぽん、と一織くんの肩を叩くとｽｯと表情を戻して「なんでもないです、早く行きますよ」と返してきた。
……素直じゃないなぁ。
ていうか今の仮面ライダーの名前ポメって言うんだ。なんかワンコみたいな……。
「さっきの」
『ん？』
「さっきの玩具の箱、何かあったんですか」
疑問符をつけることなく聞く一織くんはきっと確信犯だ。私をみる瞳はもう答えを知っている、とでもいいたげだった。
『……懐かしいな、って思って』
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作者名：ラディ | 作成日時：2019年5月12日 22時
