！Σ（￣□￣;） ページ14
天side
「…………」
『……なんか、すみません』
「ううん。こっちはそのつもりでキミと一緒にいるから、寧ろ好都合。少し早まったくらい」
申し訳なさそうなしょげた顔をする彼女にそう言うと、一瞬、間をおいて、みるみる赤くなっていった。
寒さのせいじゃないだろう。
なんせ着こんで来るようにキツく言っておいたおかげで、彼女はモコモコだ。
顔が赤いことをからかうと、貴方のせいです、と悔しそうにそっぽを向く。
……かわいい。
今日は琴葉の家に挨拶……というか、なんというか。
告白から数ヶ月。
ボクと琴葉はそれなりに良好な関係を築いていたと思う。
付き合っていることはバレてないし、お互いに仕事やプライベート、忙しいながらも連絡を取り合ったり、暇ができたら逢ったり。
気がついたのは数週間前。
どことなくそわそわした様子の彼女に、ボクが質問したのが事の始まりだった。
＿＿＿＿＿＿
「……どうかした？」
『えっ？』
「落ち着かないみたいだから。
……ボクがいるのに他のことで頭を悩ませないで」
『…………ｯ。
九条さんのそういう台詞、私を悩ませてます』
「ふふ、ごめんね？
それで、どうしたの？」
ため息を１つ溢した琴葉は、沈んだ顔で話し出した。
恋人ができたことを、家族に報告しないと後々に響きそうなこと。
特に重大なのが弟と長兄。
最悪、連れてこいだとか、確かめにいくだとか、面倒なことになりそうなこと。
頭を悩ませる琴葉に電話することを勧めた。よほどの事情がない限り報告は大事だし、早いとこボクを認知してもらいたい。
こっちはゆくゆく結婚するつもりだから、隠しておくのは悪い印象を与えかねない。
気が進まないらしい彼女を言いくるめて電話を入れる。最初こそ不安げだったものの、家族との会話は嬉しいみたいで、綻んでいった。
恋人ができた、と言うと案の定、連れてこいって言われたみたい。
もう通話が切れたスマホ相手に、げんなりする彼女の隣に座って、身を預けた。
『一緒に行ってくれますか？』
「もちろん」
笑いあって、その夜は一緒に布団に入った。
家族とか、仕事とか。他にもいろんなことを話して眠った。
星のきれいな、よく晴れた夜だった。
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作者名：ラディ | 作成日時：2019年5月12日 22時
