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八尺様1 ページ1

side:中原

何だ…?

ぽ、ぽぽ、ぽ…

行きつけのbarの帰り、突然耳に届いた。
機械じゃなく、人が発している様な濁音とも半濁音とも取れないような”声”だ。
人通りの少ない裏通りに、何故ー。

「誰だ!?…なッ」

気配を感じて振り向けば、白い帽子にワンピース姿の、2mはあるであろう女がすぐ背後に立っていた。ハッとして後ろに飛びのき、女と対峙する。
いくら酒が入っていたとはいえ、こんな距離まで気づかないなんて、幹部として致命的だ。

「手前、何処のモンだ?あ?」

異能力者か?だとしたら、何の能力だ。
俺と戦ろうってんならいい度胸だ。重力で圧し潰してやる。

ぽ、ぽぽぽ、ぽ、ぽぽ…

あの声はこの女だったのか。
そもそも、声の低さと身長を見るに女かすらも怪しい。

「何時まで突っ立てる心算だ」

痺れを切らして言えば、女に漸く動きがあった。

「ま…何処行きやがった!?出てきやがれ!!」

俺は瞬きすらしちゃいねぇ。
消えた。
此方に一歩近づいた瞬間ー。

ぽ、ぽぽ…

「っ、ふっざけんじゃねぇ!コケにしやがって…!」

やはり異能者だったのか。
姿は見えないのに、奴の声だけが耳に残った。


【翌日】

「中原さん」
「芥川か、どうした?」
「中原さん宛ての書類が紛れていた故」
「そうか、悪いな」

書類を受け取った時、芥川の指に微かに触れた。

バリン…!

「どうした…!?」
「…Aの数珠が…」

瞬間、芥川のブレスレットが砕け散った。

「ぐ…!」
「芥川!?如何した、おい!」
「…っ!…は、すみません…」

顔色を青くして、膝をついた芥川を介抱しようと伸ばした手を払いのけられる。

「…否、気にすんな」

一体、何が起こってやがる。

「中原さん、すぐにここに行ってください…っ」
「ここは…」

芥川が懐から取り出し名刺には、霊能事務所所長・小泉Aと記されていた。
前に、姐さんと首領が話していた事を覚えている。
見せてもらった写真の中。緑色の瞳が酷く印象に残っていた。

「此処に行って、どうしろっつーんだ。芥川、一体何を知ってやがる?」
「ここ最近、何かに逢いませんでしか?」
「何…?」

どういう事だと問おうとした瞬間、昨夜裏路地で出会った女が頭を過った。

ぽぽ、ぽ、ぽ…

「ーーーッ!!」

耳の奥に聞こえてきたあの低い声。
慌てて辺りを見渡すも、芥川と俺以外この部屋にはいない。

「首領には僕から云っておきます。すぐに向かってください」

念のためにと、小さなお守りを渡された。

イラスト頂きました!・:*+.(( °ω° ))/.:+→



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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時

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