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_百六十七訓 ページ24

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「ハァーーーッ」


副団長である阿伏兎の長いため息は、人混みの中に掻き消えた。現在の彼は一人。理由は簡単だ。アホな上司が、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、自由気ままに色んな店を入るからである。
それはいいものの、荷物係という重大な役割を任されている彼は、出かけて早々にはた迷惑な上司とその付き人の部下を見失ったのだ。


「たくよォ…」


大柄な黒ずくめのおっさんが1人大通りではぐれている。この時点で割と痛いが、パンフレットを睨みながら進むのも田舎者臭い。


「この星にゃ迷子センターでもねェのかよ」
「迷子センターにでも捕まればいい」


重なった声と声。
えっ、と思いながら声をした方を見れば見覚えのある侍だ。


「お前……、確かAンとこの宇宙海賊」
「そっちこそ、地球の侍」


え、偶然奇遇〜。なんて高校生ノリではない。そこまで親しいわけでもなければ、何なら敵同士の立場が多かったのだ。
え、なんでここにいるの。が正解である。


「……お前がいるってことは神威とAがいるのかよ」
「そりゃァこっちのセリフだ」


烙陽ぶりの再開。たどたどしい彼らはとりあえずと言うように、道の端までやってきた。


「迷子センターってお前さん迷子かァ?」
「そりゃこっちのセリフだ。こちとらガキ共が迷子なんですぅ。ガキは迷子センターに行くのが我が家のルールなんですぅ」
「へいへい」


てめッ、バカにしてんだろコノヤロー!なんて前に出たのが悪かったのだろうか。
突然上に覆い被さる黒い影。それは重力に従って下へと落ちてくるが、とても動きは軽々しく、阿伏兎はその光景がスローモーションの様に見えていた。


「え、なッ……!へぶしッ!!」
「悪い!」


ガッ!と思い切り鈍い音が目の前になり、思わず顔を顰めた。阿伏兎の脳内では、痛そう。何やってんだあのアホ。団長どこだ。等高いヒールで顔面を踏みつけられた銀時の事など二の次であった。


「くぁ〜〜……、ッてぇな!どこ見て歩いてやが、ぐへ__」
「てめぇぇぇえ逃がすか!クソ女ァアアア!!!」


次にやってきたのは年寄りだ。それも結構な年配。


「…何やってんだァ?あのすっとこどっこい)」


自身の部下と見知らぬ年寄りが建物の上を飛び回るように追いかけっこをするのを、ポケーっと見つめ、結局最後はため息しか出てこない阿伏兎であった。

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yuuna1202(プロフ) - 本当ですか!嬉しいです!! (2020年12月8日 11時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます!補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います!? (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なな | 作成日時:2020年7月17日 23時

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