_百六十四訓 ページ21
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ボフッと弾力のある大きなベッドに両手を広げて倒れ込んだ。
各自分けられた広い部屋は、スウィートルームまでもはいかないものの快適だ。Aは慣れない感覚に、辺りをキョロキョロと見回していた。
その時、コンコンとノックが鳴り響き、彼女が声をかければドア越しに男の声が聞こえる。
「団長?」
「あ、A?このホテルびゅっふぇやってるらしいから行こうよ」
「さっきまで散々食べただろう」
副団長でも連れていきな。そう言いかけた言葉を飲み込んで、Aは渋々神威について行く。
「さ、早く行くよ。他の人に先取りされる」
「はいは…ッ…、ちょっと待って」
急に立ち止まり鏡の方に向かった彼女にどうしたのか聞くと、首に下げていたネックレスの金具が髪に引っかかったらしい。
紳士に神威がそっと解こうと後ろに回れば、Aのふわりと香る彼女自身の甘い香りと柔らかい髪に酔いしれそうになる。
フルフルと頭を振って取れたネックレスを見て不思議そうに首を傾げた。
「ペンダントか何か?」
「…そう。取ってくれてありがとう」
ガラス物を扱うかのように優しく神威から受け取ると、そのままドレッサーの引き出しにそっしまった。
彼女の行動に気になりつつも、背中を押され流されるように一階の広場へと二人で向かう。
***
「団長達いつ帰ってくんの?」
「そんなこと知らねぇよ!今は酒だ!酒飲もう!」
いつも以上に騒がしい第七師団の艦内。上司3人が宇宙旅行に出かけてしまった故、代わりの団長役に任されたアキは一人離れた場所で受話器を握っていた。
「アキの奴どうした?」
「なんか父さんから電話だとよ」
珍しくないその光景にBとCは特に何も思わなかったが、電話が終わっただろうアキの顔色とあわて具合に何かあったのかと察して声をかけた。
「………父さんの家が、襲われたって」
「「………………え」」
俺、様子見に行かなくちゃ…ッ、といつも以上に余裕のない不安に溢れた表情に誰も止める者はおらず、早々と支度を済ませ小型船に乗り込み故郷へと向かう。
彼のそんな姿に、代わり団長として任されたアキのそのまた団長(仮)を任されたモブBは不安半分酒半分に頭を悩まされた。
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yuuna1202(プロフ) - 本当ですか!嬉しいです!! (2020年12月8日 11時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます!補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います!? (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年7月17日 23時