_四十二訓 ページ43
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「でもな、」
高杉はそっぽを向いていたがAの声を聞いてチラリと見る。
「今日はありがとう。嬉しかったし楽しかった」
その笑顔は夜桜のよえに儚く、この世で1番と言ってもいいほど美しかった。
___…
二人は自分達の船へと歩き出した。それもまた手を繋いで。…まぁ、それにも訳がある。
Aがまだ慣れないから転びそう(大嘘)と真顔で高杉に言ったため1度は断られたものの今回ばかりはと高杉は許した。
そしてそんなことより重要なのがこっち。高杉が自然と手を繋いでしまったからだ。
自然と言う通り、高杉自身無意識に手を取ってしまったのだ。表情筋が働いていない高杉ですら珍しく驚いていた。自分のことなのに。
「わざわざ部屋まで持ってかなくていいのに」
「うるせぇな。誰だ?甘える時は甘えろっつった女は」
「……ふッ、私だな」
第七師団の艦内。重い着物を持って部屋まで来てくれた男前杉、高杉くん。
Aの自室に入り、机の上にどさりと紙袋を置いた。
「疲れただろ?泊まってくか?」
「お前…、それ平気なのかよ」
「別にやましいことがあるわけじゃないしいいだろ。あ、何だ?姉さんのこと狙っ__」
「ぶっ殺すぞ」
「あら、こんなグラマー滅多にいないぞ」
シャワーを借りようと歩き出した高杉をAは一度よびとめる。
彼女の方を振り返るとどこからか取りだした見覚えのある愛用カメラを片手に。直ぐに彼女の言いたい事を理解したのか仕方なくAの近くに寄った。
「私じゃ身長足りないからシャッターよろしく」
「ちび」
「お前が言えるか」
カシャッとシャッター音が静かなAの部屋によく聞こえる。
写真写りを確認しようと画面を覗く。すると珍しく写真で微笑む高杉に驚き、当の本人を見ようと隣を振り返るが既にシャワーに行ってしまっていた。
「ツンデレなのは相変わらず、か…」
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時