＿四十訓 ページ41
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「さ、準備が整いましたよ」
「ありがとう」
Aが礼を言うとお辞儀が返ってくる。無駄のない全ての動作が美しい女だ。見てて飽きない。
高杉が待ってるなどと急かされ、そそくさともとの和室に戻ろうと廊下を歩いていた。
「高杉さんもこんな美人よく捕まえましたね。美男美女で素敵じゃないですか。何なら私が付き合いたいぐらいです」
「…あー、勘違いしてないか？」
姉弟だと言うと女将は目を見開き驚く。男女が着物屋に来て恋人やらと勘違いされても無理ないだろう。
だが、あの高杉が姉であろうが女性を連れてくるなど出会って数年一度もなかった。そのことは彼女に言わないものの、口を緩ませながらも女将は話し続けた。
「でも、高杉さんがA様を愛しているのはたしかですね」
「そんなこと昔から知っているさ」
「昔…、そう言えば高杉さんここに来る時懐かしそうに話してらっしゃいましたよ」
眉をひそめるAに女将は頷いてその時の高杉について話す。
彼女にはピンとくる出来事が思い出せなかった。
「着物を買う約束をした、とか何だとか」
それを聞くなり青い瞳が大きく開かれた。…確かにそんな約束したな。昔を振り返るとAの顔は朗らかで可愛らしい。
何十年も前の口約束を弟が覚えているなんて事にニヤつきながら彼の待つ部屋へと入り、高杉に近づきどうだ？と笑って見せた。
「やっぱてめェにゃ青が似合う」
「……」
よく少女漫画である顎クイ。まさにそれを高杉にやられ流石に照れるAは目を逸らした。
「さ、イチャつくなら外でしてください」
「……行くぞ」
「け、ちょッ！会計＿＿」
「それならもう済ませてある」
Aの腕を引っ張り外に連れ出そうと急ぐ高杉。Aは再度彼を止めて女将を見た。
「今日はありがとう。今度地球に来た時は手土産を持ってくるさ」
「ふふッ、またいらしてください」
女将が手を振るのを繋がれていない方の手で振り返す。
知り合いがまた増えたと思っていたが早足の高杉に着いていくのに必死だった。
「(男の子ってすぐ大きくなるんだな……)」
高杉の背中を見つめ、その成長を嬉しく思うがあの無邪気な幼少期時代が戻ってきて欲しいとも思う。妹をずっと育ててきてたからこそ、三人の弟の成長はとても早く感じるのだろう。
二人の繋がれたAの手が少し弱くなった。
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (
レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なな | 作成日時：2020年2月18日 19時
