補佐さんと宇宙海賊【神威】 (ページ38)

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＿三十七訓ページ38

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案内された畳の広い部屋に入ると中には沢山の着物が並んでいる。しかもどれも高級品だ。

「ごら注文の品は後からお運びします」

失礼しますと出て行ってしまった女性。部屋にはAと高杉の二人きりになってしまいますます状況がつかめなくなった。

「(彼女じゃ、ない？よかった。それにしてもほんとに何しに来た？)」

顎に手を添えて考えているのを察したのか高杉はAを見てから口を開けた。

「この中から好きなの選べ」
「…急に言われてもな。まさかここに来たのって」
「やっと分かったか」

高杉がここへAを連れ出した理由。それは彼女に着物を送るためだ。Aは中華服しか持っておらず、日本の服などひとつも持っていない。
こんなサプライズを用意してくれた事が嬉しくて、着物に視線を移して薄く微笑んだ。

「こんなに用意してくれたのにまだ何かあるんだろう？」
「…まァな」

そっぽを向いて顔は見えないが照れている。そう思ったAは目を細めて笑った。
すると、先程の女将が襖を開けて入ってきた。手には何かの箱を持っている。

「頼まれていたお品物です」

そう言って綺麗な手つきで着物を取りだし二人に見せる。

Aの瞳のような綺麗な青。所々にある金色の蝶や薔薇の刺繍があり、淡い黄色の帯。

「綺麗……」
「とてもA様によく似合うと思いますよ」

急に出てきた自分の名前に驚くA。女将はお連れさんに聞いたと綺麗に微笑む。地球人は綺麗だなと見惚れているとまた席を外す女将にまた二人きりになったAと高杉。
すると、その着物にゆっくりと近づいてそっと触れる。そんな彼女の様子に高杉は言った。

「それはこの世に一つしかねェよ」
「晋助が考えたのか？」
「いや、メインの色と柄しか伝えてねェ」

いつの間にか窓の近くに移動していた高杉は、煙管を吸いながら言った。
Aは暫く着物を見つめていた。