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「東京に行けるねん！」て直ぐに連絡したんよ。そしたら「…そこ、俺東京におらん」て言われて。
でも、家主は留守でも在宅は快く許可してくれて。もらってた鍵で家ん中入ったら
「あー、ええわぁ。この部屋なーんも置いてないから心置き無くモノ広げられるわ〜」
なーんて強がり言いながら大倉が僕用にって空けてくれてる例の部屋に新聞紙敷き詰めて、毛氈置いて。…今日のお土産(？)に貰った半紙を置く。
「で、…何書こう。あ、そや」
実習の時に在校生のお姉さんが『平仮名が女性らしくて綺麗』って褒めてくれたから、
「あ、め、ん、ぼ、あ、か、い、な、あ、い、う、え、お」
……。
なんやこれww
ナンボ貰いもんやいうたかてこれじゃあ半紙の無駄遣いや。…それにもうちょい練習になるもん書かな(汗)
うーん、なんかないかなーって、ケータイタップ
「お、和歌。これいいかも」
どれどれ。
あ、もちろん原文読んでもわけわからんから意味をさらって…
「『夕暮れの雲を眺めては、ぼんやりしています。手の届かぬところにいる高貴なあなたを思って。』」
ふんふん…
「『なかなか会えませんが、夢ではあなたに会えるから夕暮れが待ちどおしいです。』」
ふん……
「『恋しくてたまらない時はパジャマを裏返して寝ると夢で会えるというおまじないをして、あなたの夢を見ようとしてます』」
………て、
「せつないっ！切なすぎるやろ〜！！」
うぇーん。悲しくなってきたー！！
何なんこれ。何百年も前の人が書いたやつなんやろ？なのに、思ってる事今と変わらんやん。
いやいや、スマホもパソコンも無い時代やもん。もっともっと色んなことが大変やったはず…。
「みんな、頑張って恋してたんやな(涙)」
それに比べたら僕なんて幸せな方や。声聞きたなったら電話したらええし、会いたくなったら乗り物に乗ってピューやもん
「贅沢言うたら、怒られるな」
けど、
けどな、
会いたい気持ちは昔も今も一緒やんな？
「あーあぁ。」
高層階なのをいいことに暗くなってもカーテンを閉めていない窓際に座り、繋がってる空を見上げてふと思う。
「考えれば考えるほど胸が苦しくなるだけやのに。なんでやめられへんのやろ」
会いたかったなぁ…、大倉(涙)
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作者名：青菜はやと
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年10月27日 21時
