8UPPERSのセカイ（eight） (ページ2)

今日:7 hit、昨日:9 hit、合計:56,759 hit

2 ページ2

・

ほらな、ビンゴ、

先客がおるわ。

途中から数えるんやめたけど、なかなかの階数あったで？

それをあのパンプスで上がって来たって事は、暇つぶしになる可能性大や♪

俺は、その女、…女の、子？が座るベンチの斜向かいに腰掛けると

『！！』

…そらビビるわな。

けど、俺もちょっとビビった。

だってその娘(こ)、泣いてたから。

『……あ、…あの、』

ああ、ゾクゾクする、その怯え方。大義名分の匂いがプンプンしてむせ返りそう…

俺は胸の高鳴りをどうにか無表情で隠しつつ「誰もこんな所で、犯したりせんから落ち着け」って冷たく言い放つ。

『………は、はい』

「こんな時間に、こんな所で何やってるん？残業、…ではないやろ？」

なんでそんな事聞いたかというと、膝の上でノートパソコンを開いていたから。

ホンマはわかってるねん。俺と一緒。明るすぎる世の中から自分の世界に逃げ込んで来たんやろ？

俺はそのワケが知りたい。

「なあ、」

『……、、、』

「ふぅーん。」

だんまりですか？

ま、急ぐ事でもなし。俺はクソみたいな夜景を眺めながらゆっくりとタバコに火をつけた

どうせこういう奴らは自分からペラペラと喋りたがるモンやから焦って聞いても仕方ない。待つに限る。

…と楽観してたのに、

その娘は、俺を気にしつつもパソコンに目を落とすと、にらめっこを続行

…って、ムシすんなや！

腹立ち紛れに、ほぼ灰に変わったタバコをギュッと踏み潰す段になって、

「ん？」

その娘のリュックからはみ出しているスケッチブックが目に付いた。

表紙には、小さくリョウって書いてある。

「リョウ。…自分、リョウって名前なん？」

『あ、…あ、それは///』

…しどろもどろはもうええなぁ、少しシメテみよか

「言えや。お前の名前なんか？」

低い声で言うと

『いや、違うくて、それは、…仮の名前というか、なんていうか…///』

ほら、すらすらと喋れんねんやん。

それに…

「俺と一緒や」

『？？』

名前が。…忘れかけてた本当の名前。

それと、偽名を持ってるって事、が