指に触れる愛が、２ (ページ8)

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『付き合い始めの頃は、こんなに続くと思ってなかったよ。浮気されて、別れるんかなーって思ってた。でも付き合っていくうちに、向こうが真剣に向き合ってくれて、大切にしてくれて…愛されてるって、実感しちゃうとさ…、そりゃ私も大切にしなきゃって思うよね(笑)』

選手たちがキャッチボールをしているグラウンドを眺めながら、Aが心底彼が愛しい、といった表情でそう話す。

『それに…あの人は私のヒーローやから。勇人が居なかったら多分私、いまここに居ない』
北「…うん、」
『もう、手放せないよね。…手放しちゃ、いけない』

私も詳しくは、あの件について話は聞いていないけれど今もまだ夢に出て魘されたりと完全に傷は癒えてないらしい。

本当は、Aと彼が付き合うことは反対だった。
チャラチャラしたイメージが強くて、こんな人Aのこと傷つけるに決まってるって、そう思ってた。Aも浮気されてもなお付き合い続けるとか、そういうタイプじゃないからすぐ別れるだろうって。

だけど、1年付き合って、Aもちゃんと彼のこと好きになって、…あの、事件があって。
あの時彼がAを守ってくれたこと。あの対応があったからこそ仲間内では、彼にならAのこと任せられるって、認めることができた。

『愛されるために努力しようって。だから連絡だって、面倒くさがらずにしてるんだ』
北「ふふ、そっかあ」

もう反対などしない。
2人が幸せにいられるように、願うだけ。