伊達工業高校バレー部の臨時マネージャーはゆるふわ系女子

番外編 ページ37

永石side

フラれた。

大好きな人に。

まあ、わかってはいたんだけど。

二口に宣戦布告したのだって、あの二人をくっつけるためだ。

二人とも両思いなのに、両片想いを続けているのは、クラス全員知っている。

見ていて焦れったいので、遠回しに急かしたのだ。

あの二人に、いや、仲嶋さんには幸せになってもらいたいから。

…というのは、半分本音で、半分建前。

ライバルになりきれないのが分かっているのに、ライバルであり続けるのはかなり辛い。

だって、なんかピエロみたいじゃないか。

空気を読まない、壊れた滑稽なピエロ。

それにだけはなりたくないから。

傷つきたくないから。

二人のために"悪役"になったように見せかけたんだ。

自分を正当化するために、ね。

あーあ。

どーしよっかなぁ。

恋に落ちようにも、穴がない。

工業高校なのだから、仕方はないけれど。

こうなれば、ゆっくりゆっくり引き摺りながら、次の恋を探すしかないかな。

番外編→←エピローグ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す