私 が 、し っ か り し な き ゃ 。【冨 岡 義 勇】

23.しっかり ページ24

.





冨岡 side





お館様「鬼を飼っているのを知っても尚、私は華歩を辞めさせなかった。
鬼に藤の花と陽の光の耐性がついていることに興味を持ったせいでAや太陽たちを傷つけ、柱のみんなをバラバラにさせてしまった。
自らが鬼となってしまっている華歩も救えずに」





Aの弟の言葉、お館様の告白、目の前で起きていること。



全てが信じ難かった。



俺は、花咲の言葉を信じてきた。



Aが悪いヤツなわけなかった。



それは俺が一番わかっていたはずだった。



周りの言葉に騙され、アイツを地の底に落としたのは紛れもない。





俺だ。





甘露寺「華歩、ちゃん？鬼だなんて嘘だよね！？」





甘露寺の問いに答える代わりに灰となって散っていった。





煉獄「俺、は…鬼である華歩を信じて、本当のことを伝えようとしていたアイツを、裏切ったのか？」



不死川「俺はまた、傷つけた！！」



悲鳴嶼「柱として情けない」



時透「Aは、僕のこと信じてくれたのに…」



伊黒「アイツは笑わなくなったと思っていたが、まさか俺たちがアイツの笑顔を……」



宇髄「俺は、アイツに何をした？俺たちを鬼から守ろうとしてくれたアイツに！！」





Aの過去は知っていた。



いつもいつも自分がしっかりしなきゃ、と無理をしては体を壊していた。



なのに俺は、花咲が刺されたと嘘を偽った時、アイツに何と言った？



〈しっかり、してくれ……！〉



Aは何を考えて生きていたのだろう。



アイツのことだから自分のせいだ、自分がしっかりしないからと考えていたに違いない。



体だけでなく、心まで壊していたのだ。





胡蝶「見つけ、なきゃ……」





胡蝶の言葉に顔を上げる。





胡蝶「見つけて、謝らなくては…！」



甘露寺「でも、私…最後までAちゃんの味方を出来なかった！どこにいるかも分からないし…」





そんな中、Aの弟が口を開いた。





太陽「もしかしたら獏の所かもしれない…昨日みんなとした獏のこと聞いてきたんだよ！」





獏、と言えば最近巷で噂になっていた。





善逸「絶対そいつの所じゃん！」



炭治郎「よし！探しに行こう！！」





炭治郎と我妻と嘴平が立ち上がるが他の柱は下を俯いている。





「俺は行くぞ」





アイツは俺たちの顔を今は見たくないのかもしれない。



それでも、アイツを取り戻したい。



その声を聞いて、柱たちも立ち上がる。





「必ず、連れ戻してくる」





俺はAの弟妹たちにそう告げると、走り出した。





.

24.しっかり→←22.しっかり

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す